
日本製鉄が進めてきたUSスチールとの経営統合について、ドナルド・トランプ大統領が5月24日に承認の意向を示しました。両社の提携により、米国国内で7万人の雇用が生まれ、140億ドルの経済効果が期待されています。
ドナルド・トランプ大統領は前日23日のSNSで「熟慮と交渉を重ねた結果、USスチールがアメリカに残り、本社も偉大な都市ピッツバーグにとどまると発表できることを誇りに思う」と発表しました。
しかし、提携の具体的な内容については明確になっていません。ニューヨーク・タイムズ紙は、完全な買収ではなく投資の形態になる可能性を報じており、企業の所有形態は未定とのことです。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、条件付きで経営権の取得が認められたと報道しています。ただし、取引の重要部分については今後の協議が必要だと伝えています。
最大の焦点は、日本製鉄が取得できる株式の比率です。ドナルド・トランプ氏は従来、日本からの投資は歓迎しながらも、USスチールの子会社化には消極的でした。
完全子会社化や株式の過半数取得が認められるのか、それとも出資比率が50%未満に制限されるのかが、今後の交渉の鍵を握ります。両社とトランプ政権は、数週間以内に国家安全保障に関する協定の締結を目指しているとのことです。
日本製鉄とUSスチールの反応 「画期的な転機となる」
ドナルド・トランプ氏による日本製鉄とUSスチールの提携承認を受け、両社から感謝のコメントが相次いで発表されました。日本製鉄は「日本製鉄とUSスチールのパートナーシップを承認されたトランプ大統領のご英断に心より敬意を表します」と表明しています。
さらに同社は「私たちの提案は、アメリカの労働者、鉄鋼業、そして国家安全保障を守るというトランプ政権のコミットメントと合致しています」「パートナーシップは製造業全体にとって、画期的な転機となる」と強調しました。
USスチール側も同様に歓迎の意を示し、「トランプ大統領は大胆な指導者で、アメリカや国内の労働者、それに製造業にとって最良の取り引きを実現する方法を知っている実業家だ」と評価。「トランプ大統領のリーダーシップとアメリカの象徴的な企業や多くの鉄鋼労働者の将来への配慮に深く感謝する」と述べています。
一方で、全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコール氏は慎重な見解を示しました。同氏は、詳細な情報がない段階では今回の発表による影響を判断できないとしています。
また、日本製鉄が米国の貿易関連法規に違反してきた外国企業であり、買収により国内の製鉄能力の低下や、数千人の組合員の雇用が脅かされる懸念は依然として残っていると指摘しています。