
中国IT大手の騰訊控股(テンセント)が、日本の広告業界に革命をもたらす新サービスを導入しました。同社のクラウド事業部門を通じて展開する「AvaMo(アヴァモ)」は、人工知能(AI)で生成した仮想タレントを活用した動画広告制作ツールです。
このサービスの最大の魅力は圧倒的なコスト効率にあります。従来の広告制作では企業向けで約30万円、個人制作でも5万円程度が必要でしたが、AvaMoを使用すれば制作時間・費用を最大98%削減可能です。
企画から完成まで通常2週間から1ヶ月を要する作業が、わずか5〜10分で完了します。また、100種類の背景と120体以上のAIタレント、8種類の日本語音声から選択できます。
日本系・中華系・欧米系のキャラクターを用意し、15〜50秒程度のSNSやタクシー車内広告に最適化されています。料金体系は法人向けが月額10万円で5アカウント利用、毎月5時間分の動画制作が可能です。
市場環境も追い風となっています。動画広告市場は2024年に7,249億円規模となり、2028年には1兆1,471億円への拡大が予測されています。
伊藤園の『お〜いお茶』CMやH&Mの販促活用など、大手企業でもAIタレントの導入が進んでいます。一方で課題も指摘されており、日本俳優連合は「職域侵害の恐れ」を懸念し、米国では俳優らのストライキも発生しました。
電通の児玉拓也氏は「技術は進歩しているが社会受容はこれから」と指摘。博報堂DYの西村啓太氏は「ウェブ媒体での活用が先行するが、高単価なテレビCMでは有名人起用を望む広告主が多いのでは」と分析しています。
テンセントとはどんな企業?グローバルなテクノロジー企業
テンセントは、1998年に中国・深センで創業されたグローバルなテクノロジー企業です。メッセージングサービス「QQ」や、モバイルアプリ「WeChat(Weixin)」をはじめ、ゲーム、動画、音楽、クラウドサービスなど幅広い分野で事業を展開しています。
現在では、毎日何億人ものユーザーがテンセントの統合プラットフォームを通じて、コミュニケーションや情報収集、エンターテインメントを楽しんでいます。
2011年には日本法人である「Tencent Japan合同会社」を設立し、日本市場においてもゲームやクラウド事業、WeChat関連のサービスを展開。企業理念として「Tech For Good」を掲げており、テクノロジーの力で社会に貢献することを重視しています。
AIタレント起用のCMを見た人たちは、「俺は受け入れない」「コスト削減できるならいいのでは?」「タレントの仕事がなくなって困る人は増えそう」などの意見を寄せています。