大相撲界の大横綱が新たな挑戦へ 白鵬が描く相撲国際化構想「SUMO」とは

史上最多45回の幕内優勝を達成した元横綱白鵬こと宮城野親方が、6月9日付で日本相撲協会からの離脱を決断しました。2日の臨時理事会で正式承認されたこの決定は、単なる引退ではなく、相撲の新たな未来を切り開く壮大なプロジェクトの始まりを意味しています。

協会退職に至った経緯は複雑です。2021年の現役引退後、親方として部屋を運営していましたが、弟子の北青鵬による暴力事件により部屋の閉鎖を余儀なくされました。

2024年4月からは伊勢ケ浜部屋への一時的な移籍を続けていたものの、1年以上経過しても部屋再開の目処が立たず、新たな道を選択することとなりました。

宮城野親方が目指すのは、伝統的な大相撲とは一線を画した「SUMO」という国際競技の確立です。日本と米国を主要拠点として、世界規模でのプロリーグ運営を構想しており、現役時代からの人脈を活かして複数の国際企業がスポンサーとして参画する可能性も浮上しています。

さらに注目されるのは、オリンピック競技化への野心です。父親が1968年メキシコ五輪レスリング銀メダリストという家系的背景もあり、「相撲を五輪種目にしたい」という目標実現に向けた活動も展開する予定です。

退職の真相と未来への決意 記者会見で明かされた新構想

6月9日に都内で開催された記者会見で、宮城野親方は約1時間にわたって退職の経緯と今後の展望を詳細に語りました。

協会退職の決断時期について「3月、本当に悩んだ」と率直に心境を明かし、伊勢ケ浜部屋への預かり状態が1年を超えても部屋復活の見通しが立たないことが最終的な判断要因だったと説明しました。

特に注目されたのは、弟子9人の引退理由に関する証言です。弟子たちが希望していた大島部屋への移籍について「同じモンゴル出身だからダメだ」という反対意見があったことを明らかにし、「大島部屋でなければ、他の部屋に行きたくない」という弟子の意向が引退に繋がったと述べました。

今後の活動については「世界相撲グランドスラム」という壮大な構想を発表しました。「相撲は神事でもあり、精神や肉体を鍛え、人々を導く道」として、世界の差別や偏見解消への貢献を理念に掲げています。

新会社設立後は代表として、相撲の国際的普及と将来的なオリンピック競技化実現に向けて活動する意向を示しました。

宮城野親方(元横綱白鵬)の経歴 モンゴルから来日した大横綱の軌跡

40歳の宮城野親方(元横綱白鵬)は15歳でモンゴルから来日し、約20年の現役生活で史上最多となる45回の優勝を達成しました。通算1187勝、横綱在位84場所もいずれも歴代最多記録です。

2019年に日本国籍を取得し、2021年秋場所後の引退後は間垣親方を経て、2022年7月に宮城野部屋を継承しました。

現役時代から「白鵬杯」少年相撲大会を主催し相撲普及に貢献する一方、優勝インタビューでの万歳三唱や手締めで相撲協会から処分を受けるなど、伝統的な相撲道との摩擦も経験しています。

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