
世界的な製薬大手ギリアド・サイエンシズが開発したHIV予防薬「レナカパビル」が、第III相臨床試験で驚くべき結果を示しました。なんと、HIV感染予防で100%の有効性を示すことに成功したのです。
レナカパビルは年2回の投与で済む画期的な薬剤です。経口と皮下の両方に対応し、シスジェンダーの女性を対象とした試験で、既存薬よりも優れた有効性を実証しました。
ギリアド・サイエンシズ最高医学責任者のメルダッド・パーシー氏は、「レナカパビルがHIV感染ゼロで100%の有効性を示したことで、HIV予防に役立つ重要な新ツールとしての可能性を実証しました」と述べ、さらに続けて「世界中の全ての人々のためにHIV流行を終わらせるという目標に向かって進み続けることを楽しみにしています」と、その意義を強調しています。
試験は南アフリカとウガンダの計28ヶ所で実施され、16~25歳のシスジェンダーの女性・少女5,300人超が参加しました。レナカパビル、デスコビ、ツルバタを2:2:1の割合で投与し、安全性と有効性を評価しました。
その結果、レナカパビル投与群ではHIV感染者がゼロ。一方、既存薬の投与群では感染者が複数人確認されたのです。この画期的な成果は、HIV感染症の予防に新たな光をもたらすものと期待されています。
レナカパビルの特徴は年2回の投与で済む利便性の高さ
HIV予防薬であるレナカパビルの臨床試験結果が明らかとなり、医療関係者や投資家の注目を集めています。製薬大手ギリアド・サイエンシズが開発したこの薬は、年2回の投与で済むという利便性の高さが特徴です。
ケープタウン大学のリンダ・ゲイル・ベッカー博士は、「PrEPとして年2回投与のレナカパビルが承認されれば、世界中でPrEPの恩恵を受ける多くの人々、特にシスジェンダーの女性の生活に適合する、HIV予防の重要な新しい選択肢となる可能性があります」と語りました。
また、「従来のHIV予防オプションは処方どおりに服用すれば非常に効果的であることがわかっているものの、PrEP用の年2回投与のレナカパビルは、経口PrEPピルを服用または保管する際に一部の人々が直面する可能性のある偏見や差別に対処するのに役立つ可能性があります」と強調しました。
今後、ギリアド・サイエンシズはさまざまな対象者でレナカパビルの効果を検証し、米国食品医薬品局(FDA)の承認取得を目指します。PrEP市場は2031年までに約8,000億~1兆円規模に拡大すると予測され、William Blair&Companyのサリム・サイード氏は「レナカパビルはPrEP市場でかなりのシェアを獲得できる好位置にいる可能性が高い」と分析しています。