
高齢化が進む日本において、健康な状態と要介護状態の中間にある「フレイル」の予防が重要な課題となっています。こうしたなか、兵庫県立大学地域ケア開発研究所らの研究チームは、AI健康アプリを家族と一緒に使う「健康サポートバブル」介入が社会的フレイル予防に有効であることを実証しました。
フレイルは加齢に伴い心身の活力が低下する状態です。身体的・認知精神的・社会的の3つの側面があり、特に社会的フレイルは、孤立や孤独感、社会参加の低下などが重要な要素です。
従来のヘルスケアアプリを利用した「モバイルヘルス(mHealth)」は、社会的孤立や孤独の軽減効果が限定的とされていました。今回の研究では「家族」という密接な関係性に着目し、家族単位で「バブル」を形成することで、その中での行動や感情が相互に影響し合うシステムを構築しています。
健康サポートバブルの着想は、新型コロナのパンデミック時にイギリスやニュージーランド政府が導入した「ソーシャルバブル」政策です。厳格な外出制限の中で限られた少人数のグループを形成し、内部での接触を認めることで社会的孤立や孤独感を和らげる仕組みでした。研究チームはこの概念をヘルスケア分野に応用し、家族という閉じた関係性を活用することで、行動変容の後押しになると実証しました。
デジタルとリアルの組み合わせも広がっています。愛知県大府市では、スギ薬局と名古屋大学が連携し、スマートフォンアプリ「スギサポwalk+」と店舗での健康相談・測定サービスを組み合わせたフレイル予防の実証事業を進めています。継続的なサービス提供により、フレイルへの進行を予防する試みです。
広がる自治体・企業の取り組み
現在、全国の自治体や企業でフレイル予防アプリの活用が進んでいます。NTTドコモの「dヘルスケア」アプリは累計1,700万ダウンロードを突破。歩数計測や体重記録などの健康ミッションをクリアすると抽選でdポイントがもらえる仕組みで、多くのユーザーに広まっています。
東京都八王子市の「てくポ」は2021年10月に導入を開始し、3年7か月で高齢者ユーザー1.3万人を獲得。歩数に応じてポイントが貯まり、地域の店舗やPayPayポイントに交換できる仕組みで人気を集めています。
また、習慣化アプリ「みんチャレ」を活用した自治体も増えており、東京都府中市や神奈川県横須賀市など複数の自治体が導入。高齢者同士が5人1組のチームを組み、オンラインで励まし合いながら運動を継続する取り組みが展開されています。
デジタル技術と人とのつながりを組み合わせた新たな仕組みは、今後の健康アプリの社会実装を進めるうえで重要な知見となっており、高齢者の健康寿命延伸に向けた期待が高まっています。


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