人工知能(AI)が新たな成果をあげました。AIの解析により、南米ペルーの世界遺産、ナスカの地上絵のなかから新たに4つの図像が発見されたのです。これは山形大学による驚異的な研究成果で、地上絵の候補を従来の21倍のスピードで特定できることが証明されました。
ナスカの地上絵は、紀元前100年から紀元後300年頃に描かれたものとされています。それらは人間やラクダ科の動物、ネコ科の動物、鳥、シャチ、ヘビなどの姿を描いたもので、描かれた目的については明らかになっていません。
山形大学のナスカ研究所と日本IBMの調査チームは、AI技術の1つであるディープラーニング(深層学習)を活用して地上絵の探索を試みました。専門家によると、ディープラーニングは「画像、音声、言語などのパターン分析において、大きな力と柔軟性を発揮する」とされています。
ただし、ディープラーニングの導入には困難が伴いました。地上絵の種類が多岐にわたり、地上絵自体のデータ量が少ないため、一般的なディープラーニングの手法が直接適用できなかったのです。これを解決するために、研究チームは絵を部位ごとに分割し、その上で類似性を探すアプローチを取りました。
新たに発見された地上絵は、棒のようなものを持った人型、大きさが780メートル以上ある一対の足(または手)、魚、鳥を描いたものです。「肉眼に頼るより格段にスピードアップできる。これまで20年かかっていたものが1年で済む」と、山形大学の研究者は述べました。
なお、昨年末には航空レーザー測量やドローンを使用し、同大学の研究チームは新たに168点の地上絵を発見しています。
AI技術の進歩:AdobeFireflyエンタープライズ版
AI技術の進化は日々加速しており、我々の生活や仕事にさまざまな形で影響を及ぼしています。ナスカ地上絵の探索だけでなく、プログラミングから芸術、医療まで幅広く活用されています。
Adobeは米国時間で8日、企業向けの生成AI「AdobeFireflyエンタープライズ版」を発表しました。これは、企業がビジネスシーンで利用可能な画像生成や編集機能を提供する新たなサービスで、2023年下半期に提供開始が予定されています。
このサービスは、同社が3月に発表した生成AI「Adobe Firefly」の企業向けサービスであり、ほかのクリエイターやブランドの知的財産を元にしたコンテンツを生成しないことが保証されています。
その上、企業が所有するブランド資産を用いて、本サービスをカスタムトレーニングすることも可能です。このAdobeFireflyエンタープライズ版の発表により、企業におけるAIの活用とコンテンツ制作の効率化が一段と進むと予想されています。