マイナ保険証への完全移行から初の年末、医療現場で続く模索と対応

マイナ保険証への完全移行から初の年末、医療現場で続く模索と対応

2025年12月27日、政府が推進してきたマイナンバーカードと健康保険証の一体化、いわゆる「マイナ保険証」への完全移行から3週間あまりが経過しました。従来の紙やプラスチック製の健康保険証における1年間の経過措置が12月1日に終了し、今月2日からはマイナ保険証、もしくは「資格確認書」による受診が完全に義務化されています。年末年始の休診を前に多くの患者が医療機関を訪れる中、窓口では制度の変更を巡る混乱が一部で続いており、医療従事者や患者から戸惑いの声が上がっています。​

今回の完全移行は、会社員やその家族など約7800万人が加入する健康保険組合や協会けんぽの従来証が一斉に有効期限を迎えたことによるものです。読売新聞の報道によれば、12月1日までにこれらの保険証は効力を失っており、現在、医療機関で有効なのはマイナ保険証か、未取得者向けに発行された「資格確認書」のみとなっています。しかし、この「12月2日」という区切りを正確に把握できていない高齢者も少なくなく、無効となった古い保険証を持参して窓口で対応に追われるケースが散見されます。​

特に懸念されているのが、デジタル機器の操作に不慣れな高齢者層への影響です。マイナ保険証を利用する場合、顔認証付きカードリーダーでの受付が必要ですが、機器の操作に手間取る患者や、暗証番号を忘れてしまった患者へのサポートで、受付業務が滞る事態も報告されています。政府は、マイナ保険証を持たない人には申請不要で「資格確認書」を交付するなどのセーフティネットを設けていますが、それが手元に届いているか不安に感じる患者も多く、年末の繁忙期における医療アクセスの遅れが社会的な課題として浮上しています。​

政府は以前より「保険証廃止」を前提とした移行を進めてきましたが、その背景には「使えなくなることをきっかけに移行を促したい」という狙いもありました。しかし、実際に「使えなくなった」後の現場では、制度の周知不足やシステムの不具合といった物理的な課題だけでなく、長年慣れ親しんだ保険証を失ったことによる心理的な不安も広がっているのが現状です。​

資格確認書の運用実態と今後の課題、デジタル化と「誰一人取り残さない」医療の両立へ

マイナ保険証を保有していない、あるいは利用登録をしていない人に対して交付される「資格確認書」は、従来の健康保険証と同様に窓口で提示することで保険診療が受けられる仕組みです。この資格確認書の有効期限は最長で5年とされていますが、保険者(健保組合など)によって運用が異なり、更新手続きの煩雑さを懸念する声もあります。また、マイナ保険証への一本化により、転職や引越しのたびに保険証が切り替わる手間がなくなると期待される一方で、カードリーダーの通信エラーやシステム障害時の代替手段の確保など、インフラとしての強靭性も問われています。​

医療現場からは、「資格確認書を目視で確認する業務と、マイナ保険証のシステム対応という二重の業務が発生し、以前よりも負担が増した」という指摘も聞かれます。政府はデータに基づく質の高い医療の提供や、医療事務の効率化をメリットとして掲げていますが、現場の実感としてそれが定着するにはまだ時間を要すると見られています。2025年の暮れ、私たちは「デジタル化の利便性」と「誰もが安心して受けられる医療」のバランスをどう取っていくのか、大きな転換点に立っています。

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