超長期ペアローンの「甘い罠」都内20代で急増する50年返済の実態

超長期ペアローンの「甘い罠」都内20代で急増する50年返済の実態

都心部における記録的な住宅価格の高騰を受け、20代の夫婦が「ペアローン」に加え、返済期間が35年を超える「超長期ローン」を組み合わせてマイホームを購入するケースが急増しています。日本経済新聞によると、東京都内の20代利用者に限れば、直近で2割弱が既にこの「夫婦で超長期」という選択肢を選んでいるといいます。最長で50年にも及ぶローン契約は、まさに「新婚から金婚式まで」続く借金を意味しますが、それでも背に腹は代えられない切実な事情があります。

住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営する株式会社MFSが、東京都内での住宅購入希望者を対象に行った分析では、ペアローン利用者のうち35年超の返済期間を選んだ20代の割合は、2025年1月時点の約6%から、同年10月には17.2%へと急激に拡大しました。住宅金融支援機構の調査でも同様の傾向が見られ、価格高騰が著しい都内では今後、この併用率が25〜30%まで高まる可能性も指摘されています。

背景にあるのは、新築・中古を問わず平均価格が1億円を突破した都内のマンション市況です。単独の年収では審査が通らないため、夫婦二人の収入を合算するペアローンが必須となり、さらに月々の返済額を圧縮するために返済期間の延長が選ばれています。例えば1億円を金利0.75%で借りた場合、35年返済では月額約27万円ですが、50年返済なら20万円以下になります。らくだ不動産の山本直弥副社長が指摘するように、近年の賃上げ傾向を背景に「値上がり益でカバーできる」と考える楽観的な若年層が増えていることも、このトレンドを後押ししています。

金利上昇と資産価値下落の「ダブルパンチ」を警戒せよ

しかし、一見合理的に見えるこの手法には、将来の家計を揺るがしかねない重大なリスクが潜んでいます。最大の懸念材料は金利の上昇です。日本銀行による2025年12月の追加利上げ姿勢に見られるように、金利ある世界への回帰が進む中、超長期の変動金利ローンは総返済額の増大リスクに直結します。

また、資産価値と残債の逆転現象「オーバーローン」への警戒も必要です。50年ローンは元本の減りが遅く、万が一マンション価格が下落局面に入れば、売却しても借金が残る事態になりかねません。さらに女性の収入が減る「L字カーブ」や育児期の減収など、長期の返済期間中には多くの不確定要素があります。三井住友トラスト・資産のミライ研究所は、目先の返済額に惑わされず、将来の働き方を含めた慎重な検討が必要だと注意を促しています。購入後は管理組合活動に積極的に参加するなど、資産価値を維持する努力も不可欠です。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 決算データ
    米Amazonが発表した2026年第1四半期(1月〜3月期)の決算によれば、同社の業績は目覚ましい成…
  2. 「リング」の作家・鈴木光司さん死去 Jホラー草分けの68年
    ホラー小説「リング」「らせん」で知られる作家の鈴木光司さんが8日、東京都内の病院で亡くなりました。6…
  3. STARTO社チケット転売巡る東京地裁判決 日本で初めて「興行主への権利侵害」と認定
    STARTO ENTERTAINMENT(STARTO社)が、自社タレントが出演するコンサートチケッ…

おすすめ記事

  1. 2025-8-25

    FC2創業者の高橋理洋被告に執行猶予判決 弁護側は「日米の価値観の違い」主張し控訴へ

    動画投稿サイト「FC2」でわいせつ動画を配信した罪に問われていたFC2創業者の高橋理洋被告(51)に…
  2. 2023年12月9、10日に開催された全国矯正展の会場(東京国際フォーラム)の入口

    2024-1-22

    日本最大規模の刑務所イベント、全国矯正展とは?刑務作業を通じて届ける矯正行政の今

    2023年12月9日(土)・12月10日(日)の2日間にわたり、東京国際フォーラムにて「全国矯正展」…
  3. 2023年11月23日木に栃木県の喜連川社会復帰促進センターで開催された「令和5年度きつれがわ矯正展」

    2024-1-15

    刑務所の中まで見れるイベント「きつれがわ矯正展」とは?

    2023年11月23日(木)に開催された「令和5年度きつれがわ矯正展」。年に一度、喜連川社会復帰促進…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る