2023年12月30日、名曲「舟唄」「雨の慕情」などで知られる歌手の八代亜紀氏が急速進行性間質性肺炎のため亡くなりました。今月9日に所属事務所が公式サイトで公表しました。73歳でした。葬儀は8日に行われています。
八代亜紀氏は2023年9月、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎という膠原病(こうげんびょう)の一種を発症し、療養を続けていました。この病気は、体内の免疫異常が引き起こす炎症を特徴とし、特に抗MDA5抗体陽性の場合は急速進行する間質性肺炎を合併することが多く、高い致死率を持っています。
日本では、膠原病のなかで関節リウマチや全身性エリテマトーデスに次ぐ患者数を有しています。2009年の厚生労働省特定疾患治療研究事業の調査によると、国内で1万7,000人もの患者がいるとされ、現在では2万人を超えると推定されています。
所属事務所の公式サイトでは、「葬儀は八代自身の強い遺志により弊社スタッフのみで2024年1月8日に執り行い とても穏やかな顔で旅立ちました」「一日も早い復帰を目指し治療とリハビリに励んでおりましたが 容態の急変により皆様へこのようなご報告をしなければならなくなりましたことは 無念でなりません」と綴られています。
ネット上では、「悲し過ぎて涙も出ない。悔しいよ」「私の人生の一部であった八代亜紀さんは一生私の心の中におられます」「ご冥福をお祈り申し上げます」など、八代亜紀氏に対する温かいメッセージが多く寄せられています。
八代亜紀氏の輝かしい経歴|ヒット曲と受賞歴
熊本県八代市出身の輝かしい経歴を持つ八代亜紀氏は、1971年のデビュー以来、日本の音楽界に大きな足跡を残しました。1973年にリリースした「なみだ恋」は、彼女のキャリアを大きく飛躍させるヒット曲となりました。
これに続き、「愛の終着駅」、「もう一度逢いたい」、「舟唄」など、数多くのヒット曲を世に送り出し、1980年には「雨の慕情」で名誉ある第22回日本レコード大賞・大賞を受賞しました。
2010年には芸能生活40周年を迎え、その歌唱技術の高さが文化庁長官表彰により讃えられています。また、絵画の分野でも才能を発揮し、フランスの「ル・サロン」で5年連続入選を果たし、永久会員という顕著な成果を達成しました。
音楽のジャンルを超えて、2012年にはジャズアルバム『夜のアルバム』を発売し、世界75ヶ国で配信されるという前例のない成功を収めました。2013年にはニューヨークの老舗ジャズクラブ「Birdland」でのライブを成功させ、その模様を収録したアルバムをリリース。
2015年にはブルースアルバム『哀歌-aiuta-』を発売し、翌2016年には哀歌ツアーを開催、そして大規模な音楽フェスにも出演しました。八代亜紀氏のこれらの業績は、彼女の多才な芸術性と音楽への情熱を如実に示しています。