人類最遠記録を更新、月の裏側を通過 アルテミスII有人飛行が新段階

人類最遠記録を更新、月の裏側を通過 アルテミスII有人飛行が新段階

米航空宇宙局(NASA)が進める国際有人月探査「アルテミス計画」の有人宇宙船「オリオン」が、日本時間7日未明、人類史上最遠となる地球からの距離を更新しました。オリオンにはNASA宇宙飛行士3人とカナダ宇宙庁宇宙飛行士1人の計4人が搭乗。アポロ計画以来半世紀ぶりとなる有人月周辺飛行で、月周辺での生命維持装置や航法システムの本格検証を行っています。

オリオンはフロリダ州ケネディ宇宙センターから大型ロケット「SLS」で打ち上げられた後、地球周回軌道から月へ向かう軌道への変更(TLI)に成功しました。地球周回軌道を有人宇宙船が離脱するのは、1972年打ち上げのアポロ17号以来、約半世紀ぶりとなります。宇宙船は太陽電池パネルを展開し、約10日間の飛行に必要な電力を確保しながら、複数回の軌道修正を経て月の重力圏へ移行しました。

月の裏側上空を通過する際、オリオンは高度約6550キロまで月面に接近。月の重力を利用して進路を変え、地球へ戻る自由帰還軌道(フライバイ)に入りました。

今回の飛行で特に注目されるのが、人類到達距離の更新です。オリオンは月の裏側を通過する過程で地球からの距離がおよそ40万6800キロ弱に達し、1970年のアポロ13号緊急帰還時が樹立した約40万170キロの最遠記録を約6600キロ以上塗り替えました。

一方、月の裏側では約40分間、地球との通信が遮断されます。この間は地上からの遠隔操作やリアルタイム支援が行えず、飛行士と機体は自律的な判断・制御を求められます。

月面観測から月面着陸へ、次のミッションへの道筋

月面観測と将来の月・火星探査への布石として月の裏側を飛行しながら、半世紀ぶりに人の目とカメラで尾根や斜面、クレーターなどの地形を詳細に観察・撮影しました。これまで探査機のデータが中心だった月面の理解が有人観測によってさらに深まり、将来の着陸地点選定や探査計画の高度化につながることが期待されています。

今回のミッションにおける検証は、生命維持装置、通信・航法、熱制御などのシステムが人類未踏の環境で安定して機能するかどうかです。得られた運用データは、2027年に予定されるアルテミスIII(着陸システムの軌道検証)や、2028年以降に計画される有人月面着陸ミッション「アルテミスIV」に向けた重要な技術的蓄積になります。

アルテミス計画には米国のほか日本、欧州、カナダなども参加しており、今回の有人月周辺飛行は各国が連携する有人宇宙探査の新たな幕開けと位置づけられています。

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