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2025年12月施行の「スマホ新法」で何が変わった? Appleが法改正に大反対していたワケ

2025年12月18日に全面施行された「スマホソフトウェア競争促進法」、これは俗に「スマホ新法」と呼ばれています。
スマートフォンは、今や我々の生活に欠かせないものになりました。かつての携帯電話にはなかった「アプリを自分でダウンロードして利用する」という概念は、スマホ自体に無類の万能性を与えると同時に、実体経済の在り方そのものを大きく変えてしまいました。
しかしその一方で、「アプリ配信の公平性」も問題視されるようにもなりました。
現在、iPhoneやiPadに組み込まれているiOS向けのアプリは、Appleのアプリストアでしかダウンロードできない仕組みです。この仕組みこそ、公平な競争を阻害していると指摘され、スマホ新法が導入されました。
ところが、そんなスマホ新法が我々のスマホに危険を及ぼしてしまうのでは……という逆の見方も存在します。
<目次>
「iOSアプリはAppleのアプリストアでしか入手できない」のは不公平?

2025年の日本のテクノロジーメディアは、スマホ新法の話題に文字通り一喜一憂していました。一方で、この法律自体は世間一般ではそれほど大きな話題にはなっていません。
現時点でその存在を知っているのは、日頃からテクノロジーメディアに目を通している人か、いわゆるガジェットマニアに限られてくるのではないでしょうか。
しかし、スマホ新法の施行は、結果的に日本人の日々の暮らしに深く関わるものであるということが、2025年12月から少しずつ知れ渡るようになっていきます。
2025年12月以前、日本で流通していたスマートフォン、なかでもAppleのiPhoneで利用できるiOS向けアプリは、Appleが指定するアプリストアからでしか購入・ダウンロードできませんでした。
言い換えれば「特定のハードウェアが特定のソフトウェアだけを実装できる仕様にしている」ということで「開発企業間の競争を大きく阻害するものではないのか?」という問題に発展しました。
そこで公正取引委員会は、2024年9月に「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する検討会」という有識者会議を立ち上げました。
ゲーム内のアイテムを安く入手することが可能に!

上記の開催趣旨を一言でまとめると「iPhoneやiPadに組み込まれているiOSに適合するアプリを、Apple以外のアプリストアでも入手できるようにしよう」というものです。もちろん、それだけにとどまらず、ブラウザやBluetoothで接続する外部機器などの自由化を促そうという意図も込められています。
特に、ゲームアプリを利用している人にとっては、「アプリ外課金によるアイテム購入」という選択肢も浮上します。これは、ゲームの進行に必要な有料アイテムを、アプリ内ではなく、運営元の公式サイトなどを通じて購入するという仕組みです。
一見面倒な仕組みに見えてしまうこのアプリ外課金ですが、AppleもGoogleもアプリで行う決済に関して高額な手数料を設定しています。アプリの外での決済は、この手数料をゼロにできるわけではないものの、アプリ内決済に比べて大幅に安い手数料で済ませることが可能です。
スマホ新法がアプリ外課金の正当性を裏付けるようになると、アプリ運営者はユーザーに対してさらなる手厚いサービスを提供できるようになるのではないでしょうか。
また、スマホOS運営者(この場合はAppleとGoogle)が自社ストアで配信する予定のアプリに対して行う審査も、大幅に緩和されていくとのこと。この審査に関して、特にAppleの場合は厳格だと言われてきました。そのため、アプリ開発者は何度も修正を求められることがあり、その結果として大きな負担や追加費用が発生するケースも考えられます。
そうした観点から、アプリ外課金は日本のみならず世界中のアプリ開発者が要求していたことでもあったようです。
技術を悪用するアプリ開発者が出てくる?

しかし、「アプリの審査が大幅緩和される点こそが、スマホ新法の最大の欠点ではないか」という声もあります。実際、Appleはそうした懸念を理由にスマホ新法に対して、一貫して反対の姿勢を示してきました。
公正取引委員会に対しては、以下のような意見も提出しています。以下では、その一部を引用します。
【ユースケースについて】
本指針案がサードパーティのOSアクセス要求の範囲について合理的な制限を設けていることを明確にすべき。特に、「同等の」OSアクセスという文言が、当社も利用していない深いレベルのユーザー端末へのアクセスをサードパーティに許可することを要求すると解釈される可能性があることを懸念している。このような解釈は、既に、欧州における新機能の導入の遅れなど、その他の意図しない結果をもたらしている。本法のOSアクセス義務は、第三者が指定事業者と同じユースケースで技術を使用する場合にのみ適用されることを明確にするよう求める。例えば、指定事業者が「ExposureNotification」のフレームワークを通じてCovid-19の追跡のために接触者追跡機能を使用している場合、他の事業者はそのフレームワークを出会い系アプリのために使用することを要求できるべきでない。
引用:スマホソフトウェア競争促進法の下位法令等に対する意見募集に寄せられた意見等-公正取引委員会
上記に書かれている「ExposureNotification」は、COVID-19によるパンデミックの時に開発された接触通知機能です。COVID-19陽性者登録を行ったユーザーのスマホと自動的にBluetooth接続し、「今日外出した先で陽性者と接触した」ということを教えてくれます。
しかし、この技術が応用され「他の登録者に近づいたことを通知する機能を持った出会い系アプリ」が開発されてしまったとしたら、どうでしょうか。本来は公衆衛生のために設計された技術が、意図とはまったく異なる方向で使われてしまう可能性も考えられます。
また、OS運営者による審査が緩和・簡略化されたことで、日本でも大問題になっている「オンラインカジノのアプリ」が流通してしまうことを懸念しているテクノロジーメディアもあります。
スマホ新法は使用するブラウザの選択肢が増えるという効果ももたらしますが、一方でフィルタリングのない不審なブラウザを子どもが選んでしまい、有害なサイトやアプリに接続してしまう……という可能性について解説している育児メディアもあるようです。
だとすれば、一般ユーザーにとっては「信頼できるアプリストアを見極める」という新たな手間が発生する可能性も考えられるでしょう。
なお、Appleはスマホ新法施行前日の2025年12月17日に配信したニュースリリースで、今後のアプリ審査について以下のように述べています。
スマートフォンソフトウェア競争促進法の新たな要件にもとづき、デベロッパは日本でiOSアプリを配信する際に、App Store以外の代替アプリマーケットプレイスを利用する選択肢も得ることになります。代替アプリマーケットプレイスはAppleによって認証される必要があり、デベロッパとユーザーのために継続的な要件を満たさなければなりません。
ただし、App Store以外でダウンロードされるアプリについては、App Reviewを通じてAppleが提供する保護と同等の保護策が適用されることはなく、App Storeでは許可されない、詐欺や悪用、不正行為などを含むアプリや、不法、不快、または有害なコンテンツにユーザーをさらすアプリなどの新たなリスクをもたらします。
引用:Apple、日本でのiOSにおける変更を発表-Apple
Appleは、「公式アプリストア以外からダウンロードしたアプリについては、安全性を保証できない」という立場を、はっきりと示しているのがわかります。
「正当化事由」がガイドラインに明記される

スマホ新法には、決済情報漏洩防止や青少年保護、セキュリティー対策等を理由にした「正当化事由」も設けられています。一方でアプリストアの自由化は「マルウェアが組み込まれたアプリを流通させてしまうのでは?」という懸念の声もあります。
仮にそのような事態が起こった場合、それを正当化事由を根拠として、OS運営者は該当のアプリの提供を停止する措置を取ることができるとのことです。
スマホ新法は、果たして「良貨をもたらす善法」か、「悪貨を氾濫させる悪法」か。今後の行き先を見つめ続ける必要があります。
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