トランプ大統領が次期FRB議長にウォーシュ元理事を指名 金融政策の独立性維持が焦点に

トランプ米大統領は1月30日、連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に元理事のケビン・ウォーシュ氏(55)を指名すると発表しました。5月に任期を迎えるパウエル現議長の後任として、金融政策のかじ取りを担うことになります。ウォーシュ氏は2006年に史上最年少の35歳でFRB理事に就任した実績を持ち、2008年のリーマンショック対応でバーナンキ議長を補佐した経験があります。しかし、トランプ氏がFRBに対して執拗に大幅利下げを求めている状況下で、金融政策の独立性を維持できるかが最大の焦点となっています。
トランプ氏は自身のSNSで「ケビンとは長く知っている。彼が偉大なFRB議長の一人として名を残すのは間違いなく、最高の議長になるかもしれない」と強調しました。記者団に対しては「彼は確かに利下げをしたいと思っている。私は長い間、彼を見てきた」と述べ、利下げに前向きな姿勢を期待していることを示唆しました。
ウォーシュ氏はニューヨーク州生まれで、スタンフォード大学を卒業後、ハーバード・ロースクールで法務博士の学位を取得しました。その後、金融大手モルガン・スタンレーで合併・買収部門を担当し、2002年にブッシュ政権で経済政策担当の大統領特別補佐官および国家経済会議の事務局長を務めました。2006年にはFRB理事に就任し、金融危機の最中に政財界に築いた人脈を駆使して対応に当たりました。現在はスタンフォード大学フーバー研究所の特別客員フェローを務めています。
FRB理事時代のウォーシュ氏は、インフレへの警戒から金融引き締めを重視する「タカ派」と評価されていました。特に量的緩和に対して懐疑的な立場を取り、バーナンキ議長が導入した国債購入プログラムを長年批判してきたことで知られています。しかし、最近では姿勢を大きく転換し、2025年7月の米テレビインタビューでは利下げに慎重なFRBを批判して「体制転換」を求めるなど、低金利を好むトランプ氏との距離を縮めています。
現在のパウエル議長に対し、トランプ氏は利下げ判断が「遅過ぎる」と繰り返し批判し、解任すらちらつかせて圧力をかけてきました。さらに、FRB本部改修工事の議会証言を巡り、米司法省は2026年1月9日にパウエル氏に対する刑事捜査に着手しました。パウエル氏は1月11日に声明を発表し、「刑事訴追の脅しは、FRBが大統領の意向に従うのではなく、公共の利益に関する最善の評価に基づいて金利を設定した結果だ」と述べ、今回の措置は利下げを求める政権の「口実」だと批判しました。
次期議長の選考過程では、トランプ氏は当初、忠誠心を重視し、自らの「側近」であるホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長を次期議長に指名するとの見方が有力視されていました。しかし、ハセット氏ではトランプ氏に近過ぎ、FRBの信認が保てないとの懸念が浮上したため、トランプ氏はハセット氏に関し、「今の職にとどまってほしい」と述べ、指名を見送りました。
ウォーシュ氏はトランプ氏の1期目にもFRB議長候補として名前が挙がっていました。当時、トランプ氏は2017年にパウエル氏を議長に指名しましたが、今では「間違いだった」と話しています。ウォーシュ氏のFRB理事時代の能力の高さは定評があり、政財界に太いパイプを持つとされています。
上院承認は難航の可能性 FRB独立性への懸念も
ウォーシュ氏の議長就任には上院の承認が必要となりますが、その道筋は平坦ではありません。上院銀行委員会メンバーのトム・ティリス上院議員(共和党)は1月30日、パウエル議長に対する司法省の捜査が「完全かつ透明性をもって決着するまで」、ウォーシュ氏の指名承認に反対する意向を示しました。ティリス氏は司法省によるパウエル氏の捜査を批判している共和議員の1人で、同氏が指名承認公聴会で反対票を投じれば、委員会での採決は膠着状態に陥る可能性があります。
別の共和党議員であるマカウスキ上院議員も、ティリス議員の判断を支持すると表明し、司法省の捜査を「威圧行為」だと批判しました。共和党内部からも反発が出ている状況は、トランプ政権によるFRBへの圧力が中央銀行の独立性を脅かしているとの懸念を浮き彫りにしています。
ウォーシュ氏の指名発表を受けて、金融市場では動揺が広がりました。ニューヨーク株式市場では売り注文が広がり、ダウ平均株価が一時500ドル以上値下がりしました。過去にウォーシュ氏が金融緩和に対して消極的な主張をしていたことから、市場では利下げに対する不透明感が広がったとみられています。
金融市場の専門家からは、ウォーシュ氏が今後トランプ氏の意をくむ政策を実行すればFRBの独立性を懸念する声が強まることは避けられないとの指摘が出ています。ペンシルベニア大学のピーター・コンティ・ブラウン氏は、パウエル議長への捜査について「トランプ政権における最低の瞬間で、米中央銀行の歴史において最悪の瞬間だ」と指摘しました。
一方で、ウォール街の大手トップからは称賛する声も上がっています。カナダと英国の中央銀行総裁を務めたカーニー加首相は「この極めて重要な局面において、世界で最も重要な中銀を率いる人物として素晴らしい人選だ」とコメントしました。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン氏をはじめとする金融界の著名人も、ウォーシュ氏の能力を評価しています。
FRBは米国の中央銀行で、基軸通貨ドルの「番人」です。その政策運営は、為替をはじめとする国際金融市場や世界経済に大きな影響を及ぼすため、議長の一挙手一投足に対する市場の注目度は極めて高くなっています。ウォーシュ氏がまずFRB理事に就任し、5月にパウエル議長の任期終了後に議長職を引き継ぐ見通しですが、金融政策の独立性を維持しながらトランプ政権との関係をどう調整するかが、今後の大きな課題となります。









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