米Microsoftがイスラエル国防省向けクラウドサービスの一部提供を停止

米Microsoftは25日、イスラエル国防省向けクラウドサービス「Azure」の一部提供を停止すると発表しました。パレスチナ自治区ガザの市民を対象とした大規模監視活動に同社のサービス利用が禁止されており、自社規約違反と判断したためです。

また、Microsoftは26日にイスラエル軍の8,200部隊との取引停止も発表しています。

問題の発端は英紙ガーディアンが8月に報じた調査報道でした。同紙はイスラエル軍が1日数百万件規模のガザ市民の携帯電話通話記録を傍受し、Microsoftがオランダなどに保有するデータセンターに保存していると伝えました。

さらに、これらのデータが攻撃対象の選定にも使用されていたと報じています。報道後、Microsoft社内では従業員による激しい抗議活動が展開されました。

8月には米ワシントン州の本社でブラッド・スミス社長の執務室が一時占拠される事態に発展し、関与した従業員4名が解雇されています。AI関連イベントでもパレスチナ支持者による抗議が頻発し、経営陣の講演が中断されるケースが相次ぎました。

Microsoftは当初、自社サービスがイスラエル軍によってガザ市民への危害目的で使用された証拠はないと説明していましたが、社内調査の結果、オランダでのイスラエル軍のクラウド利用において報道内容を裏付ける証拠を確認したと発表しました。

米テック各社の軍事取引拡大と倫理問題の深刻化

米国防総省は2022年にMicrosoft、Amazon、Google、Oracleの4社と2028年まで総額90億ドルのクラウド契約を締結しました。イスラエル政府もGoogleから12億ドル規模のクラウドサービスを調達しているとされています。

ChatGPTを開発したOpenAI社は、軍事分野への関与を避ける姿勢から一転し、2024年から防衛関連契約の受け入れを開始しました。

その結果、2025年6月には米国防総省との間で2億ドル規模の契約締結に至っています。同様にGoogle社も今年2月、武器システムへのAI技術適用を認める方針へと転換しました。

興味深いのは、Google社が過去に従業員の強い反発により、国防総省案件から撤退した歴史を持つことです。しかし現在は政治的環境の変化により、国家貢献を重視する保守派からの要求と、人権重視のリベラル派従業員との間で経営判断が複雑化しています。

ニューヨーク・タイムズ紙の続報によれば、Microsoftのサービス停止後、イスラエル国防省はAmazon社のクラウドプラットフォームへの移行を完了したとされています。

この迅速な切り替えは、複数の代替サービスが存在する市場構造において、個別企業の判断だけでは実効性のある制限が困難であることを露呈しています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. イメージ)閉店セール
    SNS上で相次ぐ、実在店舗へのなりすまし。閉店セールの投稿などから、格安商品の購入希望者をDMに誘導…
  2. 米連邦準備制度理事会があるアメリカの国旗
    米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、新たな金融…
  3. ドラゴンボールの一星球
    フランスのエマニュエル・マクロン大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は8月24日…

おすすめ記事

  1. ビクトリア刑務所(香港)当時の写真「大館(Tai Kwun)」 (1)

    2025-12-27

    写真で見るビクトリア刑務所(香港)当時の写真「大館(Tai Kwun)」

    1841年8月に建設され、2006年に完全に廃止されたビクトリア刑務所。現在は、文化施設「大館(Ta…
  2. 刑務所内

    2026-1-25

    刑務所の高齢化に民間の知恵を。拘禁刑を背景に導入された新プログラムとは

    2025年6月、懲役と禁錮を一本化した「拘禁刑」が導入されました。受刑者の高齢化が進むなか、個々の特…
  3. 2024-12-25

    日本最大規模の刑務所イベント、2024年全国矯正展をレポート!再犯防止を支える人たち〜職業訓練と就労支援〜

    年に一度開催される法務省主催の全国矯正展(全国刑務所作業製品展示即売会)。第64回となる2024年は…

2026年度矯正展まとめ

2026年度 矯正展まとめ

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る