北九州市90万人割れ間近で深刻化する「縮む社会」の課題

北九州市90万人割れ間近で深刻化する「縮む社会」の課題

九州最北端に位置する政令指定都市・北九州市で、人口減少が深刻な社会問題となっています。かつて官営八幡製鉄所の開設とともに「鉄の街」として栄え、日本の高度経済成長を支えてきた同市は、1979年の106万8千人をピークに人口減少が続き、2025年3月時点で90万4千人余りまで減少しました。この減少に歯止めがかからず、11月にも90万人を割るのがほぼ確実な状況となり、1963年の市制発足以来初の90万人割れが目前に迫っています。

北九州市は全国20の政令指定都市の中で最も高齢化率が高く、市民の3人に1人が65歳以上の高齢者という深刻な状況にあります。産業構造の変化により製鉄業が衰退し、雇用の場が失われたことが人口減少の大きな要因となっています。特に若者世代の流出が続き、2024年の人口減少数は全国の市区町村で最も多い7664人を記録しました。死亡数が過去最高の1万3300人に達し、出生数は5373人にとどまり、自然減が7927人となっています。

八幡東区の枝光本町商店街では、製鉄所で働く人たちの生活を支えピーク時は100店舗以上が軒を連ねていましたが、現在は17店舗にまで減少しています。同区の高齢者の割合は35.9%と市内で門司区に次いで2番目に高く、商店街でも店の経営者、買い物客ともに高齢化が進んでいるのが実態です。2022年10月には空き家火災で9軒が焼ける被害が発生し、高齢化や後継者の問題で再建を断念した店舗も多く、地域コミュニティの維持が大きな課題となっています。

転入超過の明るい兆しと今後の展望

このような厳しい状況の中で、北九州市に明るい兆しも見えています。2024年における社会動態(転入と転出の差)がプラス492人となり、60年ぶりに転入超過を記録しました。これは1965年以降59年間続いていた転出超過に歯止めがかかった歴史的な転換点として注目されています。特に0~14歳の年少人口で転入超過が見られ、子育て世帯の流入を示すデータとして期待されています。市が進めている保育料第2子無償化や企業誘致の成果が表れているとみられ、2023年と2024年は連続して福岡市を上回る企業誘致件数を記録し、起業率も全国1位という成果を上げています。

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