
育児と仕事の両立支援を強化する育児・介護休業法の改正が、10月1日に全面施行されました。3歳から小学校入学前の子どもを養育する従業員が、テレワークや時差出勤など複数の選択肢から働き方を選べる制度の導入が企業に義務付けられたことで、子育て世代の働き方が大きく変わろうとしています。
今回の改正は、0〜2歳と比べて手薄だった3歳以上小学校就学前の子育て支援を強化するものです。現在の両立支援では、0〜2歳の子どもがいる従業員には短時間勤務制度の導入を企業に義務化するなど手厚い支援がある一方で、3歳以降は主に残業時間の制限や残業免除にとどまっていました。このため、子どもが3歳を過ぎると両立支援制度が弱まり、離職率が上昇する傾向にありました。
改正法では、企業は5つの選択肢から2つ以上の働き方を導入することが義務付けられています。①始業時刻の変更など時差出勤②月10日以上のテレワーク③保育施設の設置運営④年10日以上の養育両立支援休暇の付与⑤原則1日6時間の短時間勤務制度。
企業には2つの新たな義務も課されました。一つは、子が3歳になるまでの適切な時期に、これらの措置について個別に周知し、従業員の利用意向を確認すること。もう一つは、従業員から勤務時間帯や勤務地、両立支援制度の利用期間、業務量などの意向を聴取し、配慮することです。これは、妊娠・出産の申出時と子が3歳になる前に実施する必要があります。
政府が同改正法を実施した背景には、少子化対策として、子育てと就労の両立環境が不可欠という認識があります。子どもが3歳を過ぎると両立支援制度が弱まることによる離職率の上昇が課題となっており、優秀人材の流出を防ぐために企業に制度整備を義務付ける必要があったのです。
企業側の対応状況について、岩手労働局雇用環境・均等室の井嶋俊幸室長は「子どもが3歳になるまで短時間勤務制度を使って働くということで仕事と育児の両立支援を行ってきたが、子どもがある程度大きくなったらフルタイムで働きたいとの声が増えてきたので支援制度を充実させた」と説明しています。
柔軟な働き方、期待高まる
働く親からの期待も高まっています。株式会社明日香の保育研究プロジェクト『子ねくとラボ』が2025年3月に実施した調査では、改正法について「賛成」「やや賛成」と回答した人が合わせて83.0%に達しました。賛成理由として「子どもの成長に合わせた働き方を選べるようになるから」(62.5%)、「仕事と育児の両立がより実現しやすくなると思うから」(52.3%)が上位に挙げられています。
また、しゅふJOB総研が働く主婦層を対象に実施した調査(2025年7月実施)では、少子化対策として有効だと思う施策として「子育てと両立しやすい仕事を増やす」と回答した人が66.6%に達しており、柔軟な働き方のニーズは高い状況です。改正法による働き方の選択肢拡大が、子育て世代の離職防止と少子化対策の一助となるか注目されます。


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