
ソフトバンクグループは8日、スイス重電大手ABBのロボティクス事業を約8,200億円で買収する契約を締結したと発表しました。この大規模投資は、孫正義会長兼社長が提唱する「フィジカルAI」という構想の実現に向けた重要な一歩となります。
孫正義氏が目指すのは、思考する機能と実際に動作する機能を一体化させた次世代技術の確立です。
同社はこれまで半導体開発、情報処理設備、電力供給といった基盤技術への投資を進めてきましたが、今回の買収でロボット工学という最後のピースが加わる形となりました。
過去には一般消費者向けの人型ロボット「Pepper」を展開したものの、市場の反応が芳しくなく撤退を余儀なくされた経験があります。その反省から、実用性と収益性を重視した産業分野へ戦略を転換してきました。
ソフトバンクはこれまでも倉庫管理システムの「AutoStore」や配送ロボットの「Berkshire Grey」など、複数の自動化技術企業に出資してきました。
今年初頭には米国の大手IT企業と連携し、4年間で最大約76兆円規模のAIインフラプロジェクトを公表しています。これらは全て、AI技術の覇権を握るという一貫した目標に沿った動きです。
製造現場から社会全体へ 自律型機械が切り開く新時代
AIを搭載したロボット技術が実用化されると、産業のあり方が根本から変わる可能性があります。従来型の機械は決められた動きを反復するだけでしたが、AI統合型は周囲の状況を理解して柔軟に対応できます。
この能力により、工場での組立だけでなく、倉庫管理、農業収穫、医療補助など多岐にわたる応用が期待されているのです。
ABBはこれらの領域で先進的な製品を提供しています。ソフトバンクの知能技術と結合することで、より高度な人間機械協調が実現すると考えられます。
また、デジタル領域に閉じていた知能技術が物理世界に進出することにより、自動運転や配送システムなど、社会インフラ全体のスマート化が加速する見通しです。
孫正義氏は「世界トップレベルの技術と人材を結集し、人類の未来を切り開く画期的な進化を実現する」と意気込みを語っており、単なる事業拡張ではなく、長期的な社会変革を見据えた戦略的投資であることを強調しています。
ネット上では、「手広くやりすぎじゃないか?AIが失速したら一番被害被るぞ」「一足飛びにやろうとすると、必ず失敗するよ」「AIロボット市場を見据えての投資には間違いない」などの意見が寄せられています。












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