フジ・メディアHDに新たな圧力 「物言う株主」が北尾吉孝氏を取締役候補に推薦

米国のアクティビスト投資家ダルトン・インベストメンツが、フジ・メディア・ホールディングス(HD)に対する株主提案の準備を進めていることが4月14日明らかになりました。

6月下旬に開催予定の定時株主総会において、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長を取締役候補として推薦する方針です。

ダルトン・インベストメンツは同社株式の5.8%(関連ファンド含め7.2%)を保有する大株主です。北尾吉孝氏の他にも10人以上の候補者を選定し、現経営陣が3月に発表した次期役員体制案(金光修現社長が会長に、清水賢治専務が社長に就任する11人体制)からの大幅な入れ替えを求めています。

この動きが示すのは、フジ・メディアHDへの経営改善圧力の一層の強まりです。同社大株主には、村上世彰氏の長女・野村絢氏が率いるファンドや、SBI系運用会社レオス・キャピタルワークスも名を連ねており、アクティビストの提案に賛同する可能性があります。

メディア業界最大手であるフジ・メディアHDを巡るこの経営陣交代劇は、株主価値を重視する市場の圧力と、放送事業の公共性のバランスという観点からも注目されています。

フジ・メディアHD株主提案の裏側 20年来の因縁が新局面へ

ダルトン・インベストメンツによるフジ・メディアHDへの株主提案が、日本メディア業界に新たな緊張をもたらしています。大株主同士の連携がまだ議決権の過半数には至らないものの、他の株主への影響力は無視できず、経営陣への圧力は着実に強まっています。

ダルトン・インベストメンツは昨年からフジ・メディアHDに対して、コンテンツ事業への特化や不動産証券化によるMBO実施を要求していました。今年は株主提案に必要な6ヶ月継続保有の要件を満たし、本格的な経営陣交代を迫る構えです。

一方、北尾吉孝氏とフジ・メディアHDには深い因縁があります。2005年のライブドア騒動時、北尾吉孝氏は「ホワイトナイト」として和解に関与。

しかし最近のSNS投稿で「当時の関与は誤りだった」と述べ、「メディア・IT・金融融合のエコシステム創出」というSBIの事業構想がフジサンケイグループの再生に役立つとの見解を示しています。

この動きは、フジテレビの元タレントによる女性問題発覚を契機とした組織改革の真っただ中で起きています。3月末に発表された第三者委員会報告書は人権軽視の企業風土を指摘し、取締役15人中10人(日枝久相談役含む)の退任が決定。

しかし、ダルトン・インベストメンツは新体制についても「日枝氏が選別したオールドボーイズ」と批判しており、真の改革には程遠いとの立場です。

スポンサーのCM自粛が続く中、メディア企業の公共性と株主価値のバランスという難題にフジ・メディアHDは直面しています。

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