
政府は16日の閣議で、ローマ字の表記方法について、従来の「訓令式」から広く使われている「ヘボン式」を基本とするルールに変更することを決定しました。22日に内閣告示として示される予定で、1954年に制定された現行の内閣告示が廃止されることで、ローマ字表記の国の決まりが約70年ぶりに改定されることになります。
現在、日本で使われるローマ字には二つの表記方法が混在しています。一つは「訓令式」と呼ばれるもので、「愛知」を「aiti」、「し」を「si」、「ち」を「ti」と表記する方式です。もう一つは「ヘボン式」で、「愛知」を「aichi」、「し」を「shi」、「ち」を「chi」と表記します。
1954年の内閣告示では訓令式を原則として定めていましたが、ヘボン式が英語の発音に近く、国際的にも理解しやすいことから、実態に合わせた見直しが進められていました。
この改定は、グローバル化への対応と観光業の発展が背景にあります。観光客や日本で暮らす外国人が増えるなか、実態に合わせた表記への見直しが進められていました。特に、パスポートや駅、看板などの標識で既に広く浸透しているヘボン式による表記が基本となることで、国際的な統一性が図られます。
新しい表記ルールでは、「つ」は「tsu」、「しゃ」は「sha」などヘボン式を採用。撥音の「ん」は「n」を用いて「anman(あんまん)」、促音は「teppan(鉄板)」と子音字を重ねる形です。長音は「o」の上に横棒(マクロン)を付けて「okami」とするか、「ookami(オオカミ)」と母音字を並べる方式となります。
教育現場や既に定着している表記への配慮
改定に伴い、学校教育も変更されることになります。これまで小学校の国語では訓令式による指導でしたが、今後はヘボン式に切り替わる見通しです。ただし、教科書は印刷スケジュールなどを踏まえ、段階的に統一される方針です。
同時に、政府は既に定着している表記への配慮も打ち出しました。科学や芸術などの専門分野、個人名や団体名、過去の作品や文書の表記については変更を求めず、人名や団体名のローマ字表記についても当事者の意思を尊重するよう配慮することが明記されています。
松本洋平文部科学大臣は記者会見で、「定着している表記についてはただちに変更を求めるものではない」としつつ、学校現場で混乱が生じないよう学習指導要領の解説を適切に更新していく考えを明らかにしました。約70年ぶりの改定により、日本語のローマ字表記が大きな転換点を迎えています。









-280x210.png)


-300x169.jpg)