証明書発行サービスにスマートフォン認証を導入 コンビニの複合機で利用可能
河野太郎デジタル相は1日、コンビニエンスストアの複合機を利用した住民票などの証明書発行サービスに、スマートフォンによる認証を導入すると発表しました。従来は必要とされるマイナンバーカード本体をかざす手間が省け、マイナンバーカード機能が搭載されたスマートフォンで認証が可能となります。
サービスはファミリーマートとローソンの都内店舗で20日から始まり、2024年1月22日からは全国約3万店で利用できるようになる予定です。河野太郎デジタル相は「順次対応できるコンビニが拡大していく予定だ」と述べています。
現在、マイナカード機能に対応しているスマートフォンはAndroid機種のみで、コンビニで証明書を交付する自治体は全体の1,741のうち1,200以上にのぼります。
今年の春以降にマイナンバー制度に関するトラブルが相次ぐ
2023年春以降、マイナンバー制度に関連するトラブルが相次ぎ、日本政府のこの制度に対する信頼性が大きく揺らぐ事態となりました。「マイナ保険証」のオンライン資格確認でのひも付け誤りや、コンビニでの証明書交付サービスにおける別人の住民票発行といった問題が発生しました。
2023年3月に横浜市で起きた事例では、マイナンバーカードを使用した際に別人の氏名や住所が記載された住民票が交付されています。これらの問題の原因は、富士通Japanが手掛ける「Fujitsu MICJET コンビニ交付」というサービスのバグにあり、その後も複数の自治体で同様のトラブルが続きました。
デジタル相が富士通Japanに対してシステムの一時停止を要請
この状況を受け、河野太郎デジタル相は5月8日に富士通Japanに対し、システムの一時停止と総点検を要請しました。富士通Japanは全国200弱の自治体で使用されているシステムを停止し、点検を実施しましたが、一部専門家からは「デジタル庁が一律の停止を要請するのは踏み込みすぎではないか」との声もあがりました。
すでに総務省と地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は、自治体や富士通Japanに対してシステム総点検を依頼していました。デジタル庁は「法律などに基づくものではなく、今回の要請はあくまでお願いベース。個人情報の漏洩など非常に重い事態と見て、デジタル庁はマイナンバーカードの利用を所掌している立場として富士通Japanに対しては打ち合わせ時に口頭でお願いをした」と説明しました。
この一連のトラブルはマイナンバーカードの普及に冷や水を浴びせる結果となり、国民の不安を招いたことで、デジタル庁としてはその対応に努めています。