ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏の性加害問題に関連して、NHKは同事務所による被害者への補償や再発防止策が十分であると判断できるまで、所属タレントの新規番組への出演を控える方針を発表しました。NHKの稲葉延雄会長は27日の定例記者会見で、この決定を明らかにしました。
稲葉延雄会長は「これまでタレントの起用は能力を勘案して決めてきた。考慮すべき要素が欠落していた」との立場を表明しています。この決定により、年末の紅白歌合戦にジャニーズ所属のタレントが1人も出演しない可能性が浮上しています。
事務所側にはすでにこの意向が伝えられており、出演契約を結んでいたタレントについては、契約期間が終了するまで起用が続けられるとのことです。大河ドラマ『どうする家康』では、嵐の松本潤氏が引き続き主演を務めます。
今年の紅白歌合戦でジャニーズの歌手や司会者などが出演しないことについて、NHKの山名啓雄・メディア総局長は「現時点ではそういう(出演しない)ことになる」と述べました。この発表に対して、ネット上では「公共放送だから当然の帰結かと思います」「とうとうテレビ局が重い腰をあげて新規起用見合わせに舵を切ったか」などの意見が寄せられています。
NHKがジャニーズ事務所に対して再発防止策を求める
ジャニーズ事務所に所属するタレントが多く出演する『ザ少年倶楽部』について、NHKの山名総局長は「視聴者からさまざまな意見があり、内容の変更も含め検討する」と表明しました。
NHKは先週、ジャニーズ事務所の重役と面会を開き、被害者への補償と再発防止策の徹底実施を強く求めました。ジャニーズ事務所は10月2日、経営方針についての公表を予定しています。
元毎日放送プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大教授は、NHKの強硬な決定に対して「NHKが事務所に対しきぜんとした姿勢で向き合えば、事務所も被害者への補償などに真剣に対応せざるをえない」と語った上で、「結果として所属タレントの番組への早期復帰も可能になるだろうし、それがファンのためにもなる」と述べました。
一方で、民放キー各局はタレントの新規起用を見送る方針を示していません。影山貴彦氏はさらに「民放各局の態度は曖昧で、沈黙を続けているのに等しい。強い姿勢を示すべきだ」とコメントしています。今後のNHKとジャニーズ事務所の動向に注目が集まります。