
総務省が12月26日に公表した2025年9月末時点の携帯電話事業者別シェアで、料金改定が各社の明暗を分ける結果となりました。主要プランの値上げに踏み切ったNTTドコモとKDDIがシェアを落とす一方、料金を据え置いたソフトバンクと楽天モバイルが健闘しました。消費者の値上げへの抵抗感とシンプルな料金体系への志向が改めて浮き彫りとなり、総務省も携帯電話市場の規制見直しに動き出しています。
総務省の調査によると、9月末時点の移動系通信の契約数は6月時点と比べ1.0%増の2億2775万件となりました。事業者別シェアでは、トップのNTTドコモが前期比0.4ポイント減の33.3%、KDDIが0.1ポイント減の26.3%と、いずれもシェアを落としました。一方、ソフトバンクは横ばいの19.2%を維持し、楽天モバイルは0.1ポイント増の3.4%とわずかながら伸長しました。格安スマートフォン(MVNO)の合計も0.4ポイント増の17.9%となり、市場での存在感を高めています。
NTTドコモとKDDIは2025年6月に実質値上げとなる新プランを導入しました。NTTドコモは6月5日から「ドコモ MAX」などの新料金プランを開始し、既存の「eximo」から約1000円の値上げとなりました。KDDIは6月3日から「auバリューリンクプラン」を導入し、既存の「使い放題MAX+ 5G/4G」から550円の値上げを実施。さらにKDDIは8月1日より既存プランも330円値上げするなど、より広範な値上げ戦略をとりました。
両社は新プランで動画配信サービス「DAZN」の付帯やポイント還元の強化など、付加価値の向上をアピールしました。しかし、今回のシェア動向は、料金プランを据え置いたソフトバンクとシンプルな料金体系を掲げる楽天モバイルに軍配が上がる形となりました。ソフトバンクの宮川潤一社長は5月時点で「時間をかけてじっくりと戦略を練りたい」と慎重姿勢を示しており、値上げを見送る戦略が奏功した形です。
携帯大手は物価高騰による値上げに理解を求める一方、動画配信サービスやポイント還元などで顧客を囲い込む「経済圏競争」を繰り広げており、料金プランは複雑化の傾向にあります。NTTドコモは「爆アゲ セレクション」で最大25%のdポイント還元を実施し、KDDIも「サブスクぷらすポイント」で最大20%のPontaポイントを還元するなど、サブスクリプションサービスとの連携を強化しています。
こうした複雑化する料金体系に対し、消費者の反応はシビアでした。今回の調査結果は、消費者の値上げに対する抵抗感が根強く、シンプルな料金体系を求めていることを改めて示しました。
総務省、携帯市場の規制見直しへ 競争促進と消費者利益の両立目指す
こうした市場動向を受け、総務省は2025年12月12日、携帯電話市場の規制を見直す有識者会議「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」を立ち上げました。この専門委員会は、2019年の電気通信事業法改正で導入された端末値引き規制や行き過ぎた囲い込みの禁止などの規制について、「目的に見合った必要最小限なもの」に見直すべきか検証することを目的としています。
総務省は規制を最小限にとどめ、消費者が求めるサービスや料金値下げなどの競争を促す方針です。専門委員会では、端末割引の上限規制(現行4万4000円)の緩和や、通信契約とセットでない「SIMのみ契約」でのキャッシュバック競争の過熱による短期解約の問題などについて検討を進めます。ヒアリングは2026年1月に実施し、効果検証を行った後、2026年夏頃に市場検証委員会とモバイル市場専門委員会が「取りまとめ案」を出す予定です。
規制見直しの背景には、韓国での規制緩和の事例も影響しています。韓国では2017年より規制範囲の縮小に至り、2025年には端末流通法自体が廃止されましたが、市場飽和やAIなど成長分野への投資シフトにより、スマートフォンの値引き競争は再び加速していません。日本も同様の市場環境にあり、携帯各社がAIや金融などに力を注ぐ動きが加速しています。今後の規制見直しの議論は、端末値引き規制の緩和だけでなく、短期解約によるキャッシュバック目当ての「ホッピング」への対策など、消費者利益と公正な競争環境の両立をどう図るかが焦点となります。












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