
宮城県石巻市は、出没が相次ぐクマを安全に追い払うため、クマよけスプレーを搭載したドローンの導入を決めました。1月19日にはテラドローンなど2社と連携協定を締結し、国内で初めての試みに踏み出しました。本年度の石巻市でのクマ目撃件数は1月15日時点で87件に上り、昨年度の12件を大幅に超える状況です。宮城県全体でも2025年度のクマ目撃件数は3483件と過去最多を記録し、人身被害は6件発生するなど被害が急増しています。
新たに導入されるドローンは、辛味成分のカプサイシンを主成分とするクマよけスプレーを搭載しています。機体にはFPVジンバルカメラが装備されており、操作者は最大約1キロ離れた場所から映像を確認しながら遠隔操作が可能です。クマが出没した際には、ドローンが上空からクマの頭上にスプレーを噴射する仕組みです。スプレーの噴射距離は約5~10メートルで、クマの数千倍とも言われる嗅覚に刺激を与えて一時的にひるませ、接近を阻止する効果が期待されています。
協定では、テラドローンがドローンを無償で石巻市に貸し出し、地元の測量会社の従業員が実際の操作を担当します。テラドローンの徳重徹社長は「離れた所や安全な所からスプレーを噴射することで、安全面も担保されていることが大きな特徴」と述べています。飛行時間は現行モデルで約10分ですが、3月には約75分に延長した改良モデルが提供される予定です。
石巻市の斎藤正美市長は「クマでも何でもとにかく、私は市民の命を守ることが大前提なので、それに向けてしっかりと取り組んでいきたい」と話しています。ドローンの導入により、クマ対応にあたる職員の安全確保や負担軽減が図られるほか、人的被害の防止に大きく貢献することが期待されています。本年度中の配備を目指し、実用化に向けた準備が進められています。
遠隔操作で安全確保 人命守る新たな対策に期待
クマよけスプレー搭載ドローンの最大の魅力は、操作者がクマと直接対峙することなく安全な距離から対応できる点です。従来の対策では現場の職員が直接クマに近づく必要があり、常に危険が伴いましたが、遠隔操作によりリスクを大幅に低減できます。特に夜間や藪地など視認性が低い場所での対応が可能になるため、従来では対処が困難だった状況でも効果的な活用が期待されます。
今回の協定は、各自治体と災害時応援協定を結ぶ地域の測量会社や防災事業者がオペレーターを担当するモデルケースとして位置づけられています。テラドローンはこの石巻市での実績を基に、全国の自治体への展開を目指しています。クマの学習能力が高いことを考慮し、人や市街地に近づくと強い不快刺激があることを学習させることで、最接近自体を阻止する持続的な対策の仕組みづくりが可能になるとしています。
このドローンの導入は、狩猟者の減少など従来のクマ対策が限界を示す中での革新的な取り組みとして注目を集めています。今後、実際の運用を通じて効果が検証されることで、全国的な普及が進むことが予想されます。人命保護を最優先にした新たなクマ対策の実現に、期待が高まっています。












-300x169.jpg)