東京・香港で相次ぐ巨額現金強奪事件 金密輸グループ狙った組織的犯行か

東京・香港で相次ぐ巨額現金強奪事件 金密輸グループ狙った組織的犯行か

東京都内と香港で1月29日から30日にかけて、総額6億円を超える現金が狙われる強盗事件が相次いで発生しました。警視庁は、金の密輸に関与するグループが香港へ現金を運ぶ直前を狙った組織的な犯行とみて捜査を進めています。

最初の事件は1月29日午後9時半ごろ、東京都台東区東上野の路上で発生しました。日本人と中国人からなる男女5人のグループが、現金約4億2000万円が入ったスーツケース3個を車に積んでいたところ、男3人組に催涙スプレーのようなものをかけられ、現金を奪われました。犯行グループは車で逃走し、その際に近くで50代男性をひき逃げする事件も起こしています。現場から数百メートル離れた場所で長野ナンバーの軽乗用車が乗り捨てられているのが見つかり、犯人らは別の白いワゴン車に乗り換えて逃走したとみられています。

その約2時間半後の1月30日午前0時10分ごろ、羽田空港第3ターミナルの駐車場で2件目の事件が発生しました。日本人男性4人のグループが、現金1億9000万円が入ったスーツケースを車に積んでいたところ、白いセダンに乗った男4人組に催涙スプレーのようなものをかけられました。50代の男性が軽傷を負いましたが、現金は奪われませんでした。その後の捜査で、逃走に使われた車のナンバープレートが偽造されたものだったことが判明しています。

事件はさらに香港へと波及しました。1月30日午前9時ごろ(日本時間午前10時45分ごろ)、香港の中心部にある両替店の前で、日本人男性2人が2人組に襲われ、日本円約5800万円が入ったリュックサックを奪われました。被害者の2人は同日朝に香港に到着したばかりで、リュック2個とスーツケース1個に合計1億9000万円を所持し、両替のためタクシーで店に向かっていました。捜査関係者によると、羽田空港で襲われた男性と香港で襲われた男性は同一人物だったことが明らかになっています。

香港警察は1月31日、この事件で日本人男性3人を含む男女6人を逮捕したと発表しました。驚くべきことに、逮捕された日本人のうち1人は、被害届を出した当事者でした。香港警察は「逮捕した1人が当初通報した1人だとわかりました。ほかの日本人2人に情報を流して、強盗を手助けしたのです」と説明しています。奪われた現金については一部回収されましたが、すでに一部は他の通貨に両替されていたということです。

捜査関係者によると、2つの事件とも多額の現金は香港へ運ばれる予定で、その直前に襲われていました。台東区で被害に遭った5人グループのうちの一部は「現金を羽田空港まで運搬する予定だった」「現金は香港に運ばれる予定だった」と説明し、「自分たちは日本円を香港で香港ドルに替える仕事をしている」と話しています。また、羽田空港の事件の被害者も不動産業や両替商を営んでおり、香港に向け渡航する予定で、実際に事件後に出国しています。​​

金密輸スキームと多額現金運搬の背景

なぜ被害者たちは億単位の現金を自ら運搬していたのでしょうか。全国両替商防犯連絡会の遠藤智彦代表は疑問を呈しています。「普通だったら、億単位の金がとられたら大変というのを考えれば、高くても警備会社に委託する。この規模の額を自らの手で運んで両替しようとするのは、おそらく表の金ではないのではないかと」。​

捜査関係者は、これらの事件が金の密輸グループを狙った組織的な強盗事件である可能性が高いとみています。在日中国人ビジネス関係者は、金密輸の仕組みについて「消費税のない香港で金を買い、日本に密輸して売れば、為替手数料を引いても、もうけになる」と指摘しています。​

具体的な仕組みは次の通りです。まず、日本から現金1億円を香港に持ち込み、消費税のかからない香港で金1億円分を購入します。その金を日本に持ち込む際、本来は消費税10%を税関に支払う必要がありますが、これを「密輸」することで消費税を踏み倒します。そして日本国内で金買取業者に売却すると、買取業者は消費税10%を上乗せして1億1000万円で買い取るため、1000万円の利益が発生するのです。

日本では、出国の際に円や外貨など100万円相当以上の現金を持ち出す場合、税関申告をすれば問題なく、税金もかかりません。しかし、金の密輸は消費税法違反として取り締まられており、脱税行為に該当します。2014年に消費税が8%に引き上げられて以降、金の密輸は急増しており、2024年には押収量が約1200キロで前年比約4倍に達しています。

警視庁は、犯行グループが海外に多額の現金が運ばれるという情報を事前に把握した上で犯行を計画した可能性が高いとみて、台東区、羽田空港、香港で起きた3つの事件の関連を調べています。台東区の事件では、現場近くの防犯カメラに逃走車両が映っており、少なくとも5人が関与しているとみられています。​

今回の一連の事件は、国境をまたぐ組織的な犯罪の実態を浮き彫りにしました。警視庁と香港警察は連携して捜査を進めており、金密輸グループと犯行グループの全容解明が待たれています。

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