SBI、米ドル連動ステーブルコインで高利回り運用参入 年率10%レンディング開始へ

ステーブルコイン

SBIホールディングス傘下の暗号資産交換業者SBIVCトレードが、米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」を使った資産運用サービスに本格参入します。19日から、個人投資家が保有するUSDCを貸し出すことで利回りを得られるレンディング(貸し出し)サービスを開始し、日本で本格普及が始まりつつあるステーブルコインの用途拡大を狙います。

USDCは、米ドルや短期米国債などを裏付け資産とするステーブルコインで、理論上は1USDC=1ドルとなるよう設計されています。SBIVCトレードは2025年3月に国内で初めて一般向けのUSDC取引を開始しており、今回、その活用範囲を運用サービスへ広げる形です。利用者はインターネット上で同社の口座を開設し、日本円をUSDCに交換したうえで同社に貸し出し、満期時に利息分を上乗せしたUSDCの返還を受けます。

レンディングの当初募集は12週間のキャンペーン期間中、年率10%と高水準の利回りを提示し、その後は年率5%の水準を想定しています。貸し出し1回あたりの上限は5000USDC(約80万円)とされ、日本円への交換や貸し出しに関する手数料は無料ですが、円とドルの為替変動による評価損益リスクは残ります。同社は1か月で40億円相当の応募を目標とし、集めたコインを暗号資産市場などで運用するとしています。

日本では、2023年施行の改正資金決済法により、法定通貨を裏付けとするステーブルコインは「電子決済手段」として位置づけられ、発行や流通のルールが整備されました。こうした法制度を背景に、三菱UFJ信託銀行が「ProgmatCoin」を電子決済手段型ステーブルコインとして発行する計画を進めるほか、地方銀行やフィンテック企業も地域での決済インフラとして活用を検討するなど、金融機関の参入が相次いでいます。

一方で、ステーブルコイン市場は世界的にも急成長が見込まれています。米金融大手シティグループは最新レポートで、ステーブルコインの発行残高が2030年までに最大4兆ドルに達する可能性があると試算し、現在の規模から10倍以上に拡大すると予測しています。米国ではステーブルコインを巡る規制法案が議会で審議されており、決済インフラとしての信頼性確保とイノベーション促進の両立が課題となっています。

日本発のステーブルコイン活用拡大へ 決済と投資の「二正面作戦」

ステーブルコインは、ブロックチェーン上で円やドルと価値を連動させたデジタル資産であり、価格変動の大きいビットコインなどと比べて値動きが安定している点が特徴です。 日本では資金決済法上の「電子決済手段」として、送金や決済のコスト削減や時間短縮への期待が高まる一方で、今回のSBIのように運用商品として位置づける動きも加速しています。

SBIVCトレードによるUSDCレンディングは、海外の主要プラットフォームと比べても高い利回り水準とされ、米ドル建て資産への投資機会を個人投資家に提供する試みです。 他方で、為替相場や暗号資産市場の変動、発行体や管理者の信用リスクなど、ステーブルコイン特有のリスクも指摘されており、事業者には透明性の高い情報開示とリスク説明が求められます。

国内では、三菱UFJ信託銀行の取り組みや地方での実証実験など、送金・決済インフラとしての利用が先行してきましたが、今後は決済と投資の「二正面」で普及を図る動きが一段と強まりそうです。 ステーブルコインが日本の個人資産運用や地域決済にどこまで浸透するか、今後の制度設計と金融機関のビジネスモデルが問われています。

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