
和歌山県串本町にある日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」にて、2026年3月5日午前11時10分、宇宙新興企業「スペースワン」が開発した小型ロケット「カイロス」3号機が打ち上げられました。しかし、発射から68.8秒後に機体に異常を検知した「自律飛行安全システム」が作動し、飛行中断措置が取られました。これにより、搭載されていた5基の小型人工衛星の軌道投入は失敗しました。同社によるロケット打ち上げ失敗は、2024年の初号機、2号機に続き3回目となります。
中継映像や同社の発表によると、ロケットは予定通りに発射されたものの、第1段エンジンの燃焼中に上空で旋回を始めました。その後、高度約29キロ・メートルに達した時点で自爆処理が行われ、機体は爆発。破片は和歌山県沖の太平洋上に落下したとみられています。現時点で人的被害や地上施設への損害は確認されていません。
「カイロス」は全長18メートル、重さ約23トンの3段式固体燃料ロケットです。今回の3号機には、広尾学園高校の生徒が開発した衛星や台湾国家宇宙センターの実験用衛星などが搭載されていました。打ち上げは当初、2026年2月25日に予定されていましたが、天候不良や直前の安全システム作動などにより計3回延期された末の実施でした。
スペースワンはキヤノン電子やIHIエアロスペースなどが出資して2018年に設立されたベンチャー企業で、世界的に需要が高まっている小型衛星の「高頻度な打ち上げ」を目指しています。民間企業単独での衛星軌道投入は国内初の快挙となるはずでしたが、再び厳しい現実を突きつけられる形となりました。
スペースワン豊田社長「確実に前進した」 会見で再挑戦への意欲語る
打ち上げ失敗を受け、スペースワンの豊田正和社長は5日午後に記者会見を開きました。豊田社長は「期待に十分応えられず、残念に思っている」と述べ、関係者や支援者に向け陳謝しました。一方で、今回の飛行中断について「失敗ということとは考えていない」と強調。自律飛行安全システムが正常に作動して地上の安全を確保できたことや、飛行データを詳細に取得できたことを強調し、「確実にノウハウや経験を蓄積でき、前進できた」と前向きな姿勢を示しました。
同社によれば、機体や飛行経路そのものには問題がなかったものの、安全システムが何らかの要因で異常を誤検知した可能性も含め、原因究明を進めるとしています。宇宙開発において失敗からのデータ収集は成功への不可欠なプロセスとされており、豊田社長は「宇宙輸送サービスの実現に向け着実に前進させたい」と、4号機以降の再挑戦に強い意欲を見せました。
ネット上では「何度も挑戦する姿を応援したい」「原因を究明して次こそ成功させてほしい」といった励ましの声が上がる一方、「3回連続の失敗は厳しい」「民間事業としての採算性が心配」といった懸念の声も寄せられています。日本の民間宇宙開発の試金石となるカイロスロケットの次なる一歩に、改めて注目が集まっています。












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