トランプ関税への不透明感でNYダウ821ドル安、AI・暗号資産にも波及

トランプ関税への不透明感でNYダウ821ドル安、AI・暗号資産にも波及

23日の米ニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が前週末比821ドル安の4万8804ドルと大幅に反落しました。 トランプ米政権が全世界を対象に導入する新たな追加関税を当初の10%から15%へ引き上げると表明したことで、企業収益や世界貿易への影響が読みにくくなり、市場に警戒感が広がったことが背景にあります。

米連邦最高裁が既存の「相互関税」などを違法と判断したのを受けて打ち出された新関税は、通商法122条を根拠とし、150日間を原則とする一律追加関税ですが、その運用や延長を巡る不透明さが意識されています。 投資家のリスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる米国債や金への資金シフトが進む一方、AI関連やプライベートクレジット関連など成長期待の高かった分野にも売りが及びました。

この日のダウ平均は取引時間中に一時900ドル近くまで下げ幅を広げる場面もありました。 S&P500種株価指数やハイテク株比率の高いナスダック総合指数も、それぞれ1%前後下落したと報じられており、関税政策とAIを巡る懸念が米株全体のセンチメントを冷やした格好です。

背景には、AIの急速な普及が雇用や産業構造に与える負の影響を警戒する見方や、プライベートクレジット(ノンバンク融資)市場の拡大に対する行き過ぎ懸念も重なっていると指摘されています。 個別銘柄では、KKRやブラックストーン、アメリカン・エキスプレスなど金融・消費関連株が大きく値を下げたほか、テクノロジー関連株にも売りが広がるなど、セクター横断的な調整局面となりました。

一方、代表的な暗号資産であるビットコインは、米東部時間の午後に一時6万3000ドル台まで急落する場面があり、リスク資産全般から資金が引き揚げられたことがうかがえます。 こうした中、米国債市場では長期金利の指標となる10年債利回りが一時4.01%台まで低下し、価格が上昇しました。 金先物価格も国際指標となるニューヨーク先物で一時1トロイオンスあたり5257.3ドルと急伸しており、地政学リスクや金融市場の変動が続く中で、伝統的な安全資産への需要が改めて高まっています。

もっとも、米投資銀行の一部からは、米経済の基調はなお底堅いとの見方も出ており、今回の急落を巡っては、レバレッジの高い投資家や神経質な市場参加者による利益確定売りが増幅された側面も指摘されています。

欧州株は様子見強く、トランプ関税への受け止め割れる

同日の欧州株式市場では、トランプ政権による新関税を巡る今後の展開を見極めたいとの思惑から、主要指数は方向感に乏しい値動きとなりました。 全世界を対象にした15%の追加関税構想は、欧州の輸出産業にとっても不確実性要因であり、特に対米輸出比率の高いドイツ企業では警戒感が強まっています。

ドイツ株価指数(DAX)は一時1%超下落し、自動車大手のBMWやフォルクスワーゲン、航空機メーカーのエアバスや自動車部品のコンチネンタルなど、米国向けビジネスの比重が大きい銘柄が売られました。 一方で、イタリアのFTSE MIBは一部エネルギー企業の好調な決算や自社株買い発表が支えとなり、一時上昇する場面もありました。

トランプ大統領が通商法122条に基づく新関税の税率を10%から15%へと一晩で引き上げると表明したことで、企業や投資家の間では、関税の適用期間や延長の有無を巡る法的な攻防が長期化しかねないとの見方が出ています。 同条文は原則150日間の発動を想定しているものの、状況次第では延長も可能とされており、繰り返し延長されればさらなる法的論争に発展する可能性があると専門家は指摘しています。

関税引き上げの詳細な発動時期や対象範囲もなお流動的であることから、欧州株式市場では高級ブランドや自動車株を中心に短期的な物色と利益確定売りが交錯し、投資家は慎重な姿勢を崩していません。

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