日本政府、中東への自衛隊派遣を検討 情報収集目的を軸にホルムズ海峡は除外か

陸上自衛隊

日本政府が、中東情勢の緊迫化を受けて日本関係船舶や乗員の安全確保に向けた情報収集を目的に、自衛隊を中東地域へ派遣する方向で検討を進めていることが分かりました。2019年末に実施した中東派遣と同様に、ペルシャ湾やホルムズ海峡を対象海域から外し、オマーン湾やアラビア海北部などで情報収集活動を行う案が軸となっているとみられます。こうした方針は、現地で戦闘が継続する状況下でホルムズ海峡での直接的な船舶護衛は法的・安全保障上のハードルが高いとの判断が背景にあるとされています。

日米関係筋によりますと、日本政府内では19日に予定される日米首脳会談で、高市早苗首相がドナルド・トランプ米大統領に対し、自衛隊派遣の「検討」を伝える案が浮上しているということです。トランプ大統領は、自身の発信などを通じてホルムズ海峡の警備を巡り日本や韓国など複数の同盟国・友好国に協力を期待していると表明しており、今後の首脳会談で具体的な役割分担を求めてくる可能性があります。

一方で、高市首相はこれまでの国会審議で、米側からホルムズ海峡での護衛活動への参加要請は「まだ受けていない」と説明しつつ、日本関係船舶と乗員の命を守るため「法律の範囲内で何ができるか検討中だ」と繰り返し述べています。

防衛省によると、ペルシャ湾内には現在も日本関係船舶が多数停泊しており、乗組員の安全確保は喫緊の課題となっています。こうした状況を踏まえ、政府内では自衛隊法や防衛省設置法、自衛隊法82条の海上警備行動など既存の法的枠組みを前提に、情報収集や機雷除去、船舶防護、各国軍との連携など、日本が取り得る選択肢を整理する作業が進められています。

2019年の派遣では、オマーン湾、アラビア海北部、バブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾の三海域で護衛艦と哨戒機が情報収集を実施しており、その際の閣議決定は一部変更を経ながら現在も有効とされています。政府関係者の間では、既存の閣議決定を活用しつつ、中東情勢の変化に応じた新たな対応を追加で閣議決定する案も検討されています。

高市首相「総合的に検討」 法的制約と同盟国の要請のはざまで

高市首相は16日の参院予算委員会で、中東情勢悪化とホルムズ海峡の緊張を踏まえた艦船派遣について問われ、「法律の範囲内で日本関係船舶と乗員の命をどう守るか、何ができるか総合的に検討している」と述べました。首相は、ホルムズ海峡での船舶護衛について「法的に困難な側面がある」との認識も示しており、憲法や自衛隊法の枠内で実行可能な対応に絞らざるを得ない事情をにじませています。

防衛相も国会で「現時点で自衛隊の派遣は考えていない」としつつ、一般論として海上警備行動により日本関係船舶を保護することは制度上可能だと説明しており、政府内での検討が続いていることをうかがわせます。

一方、高市首相は今月下旬の日米首脳会談で、イランの核開発を「受け入れられない」とする日本の立場をトランプ大統領に伝えるとともに、「事態の早期鎮静化」を強く要請する方針です。国際社会が連携して緊張緩和に取り組む必要性を訴える考えも示しており、軍事的なプレゼンスだけでなく外交的努力を重視する姿勢を打ち出しています。

トランプ大統領がホルムズ海峡を航行する船舶の直接護衛を各国に求める度合いによっては、日本政府もより踏み込んだ対応を迫られる可能性があり、情報収集を目的とした派遣にとどめるのか、それとも有志連合への連携強化に踏み出すのかが今後の焦点となります。日本政府は、戦闘が続く限りペルシャ湾やホルムズ海峡そのものへの自衛隊派遣には「限界がある」との立場を崩しておらず、法的制約と同盟国の要請のはざまで難しい判断を迫られています。

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