
内閣府は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として、小笠原諸島・南鳥島に、海底から回収したレアアース(希土類)泥の処理施設を2027年までに設置する方針を決定しました。同プロジェクトは、中国への依存度が高いレアアースの国内確保を目指すもので、日本の経済安全保障を強化する重要な戦略として計画されています。
南鳥島は東京都心から南東約1860キロメートルに位置する日本最東端の島で、その周辺の排他的経済水域(EEZ)には産業利用可能な規模でレアアースを含む泥が堆積しています。
レアアースは電気自動車(EV)のモーター用に広く使われるジスプロシウムやネオジムなどを含み、世界の生産量の約7割を中国が占める戦略物資です。中国は精製でも世界シェアの約9割を握っており、日本では中国依存からの脱却が国家的な課題として急速に進められています。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2026年1月11日から2月14日にかけて、探査船「ちきゅう」を使って南鳥島沖合の水深約6000メートルで採鉱システム接続試験を実施する予定です。この試験では、海底のレアアース泥を海水と混ぜて船上まで汲み上げる「閉鎖型循環方式」の採鉱システムを用いて、世界初の深海6000メートルからの回収技術を実証します。
2027年2月には本格的な実証試験に移行し、1日あたり約350トンのレアアース泥の回収能力を確認する計画です。 大量の泥を扱うため、探査船で回収したレアアース泥を運搬船に移して南鳥島まで移送し、島内に設置する処理施設で脱水処理を行います。
南鳥島沖のレアアース泥は、陸上鉱山のものと異なり、トリウムやウランなどの放射性物質をほとんど含まないクリーンな資源です。 これにより加工コストを大幅に削減できる可能性があります。
164億円の予算確保で実証試験を加速
政府は2025年度補正予算でSIPに164億円を計上し、研究開発と技術実証の加速化を図ります。小野田紀美科学技術相は「特定国に依存しない安定した国産レアアースの供給体制の実現を目指す本事業は、我が国の経済安全保障上、極めて重要であると考えています」と述べました。
石井正一プログラムディレクターは「安全保障上重要な海の利活用に取り組んでいきたい」との姿勢を示しており、今後は採算性の確認が重要な課題となります。 南鳥島での産業基盤構築には、作業にかかる電気や水道などのインフラ関連の整備も必要であり、日本の最東端での産業拠点形成は複数の課題を抱えている状況です。












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