
中東情勢の悪化を背景に、石油派生品ナフサの供給不足が深刻化した場合、日本国内で人工透析や手術に用いる一部医療機器が4月半ばから8月ごろにかけて不足する可能性が指摘されています。 ナフサはプラスチックやゴムなどの原料であり、透析患者の治療に不可欠な「透析回路」や、手術中に使用する廃液容器などの製造にも用いられています。 日本政府は、こうした医療用資材の供給懸念を受け、高市早苗首相への報告や関係省庁の連携を強化し、安定供給に向けた対応方針の検討を進めています。
事情に詳しい関係者によりますと、人工透析に使うチューブなどで構成される「透析回路」について、国内シェア5割を占める企業が、タイやベトナム工場へのナフサ供給不足により「早いものでは8月ごろから国内への出荷が困難になる可能性がある」との見通しを伝えたとされています。 また、手術中に使用する廃液容器についても、国内シェア7割を占める企業のタイ工場向けナフサ供給が4月半ばまでで終了する見込みとされており、4~8月にかけて供給不安が意識されています。 日本透析医学会の統計調査報告書によると、国内の透析患者は2024年末時点で約34万人にのぼり、これらの製品の供給停滞は多くの患者の治療継続に影響する恐れがあります。
高市首相は、石油製品の供給不安を受けて行った関係閣僚らへの指示の中で、「国民の命に直結する医薬品や医療機器等について、万が一にも供給が途絶えることのないよう安定供給を必ず確保し、代替製品の世界全体からの調達などを進めること」を求めています。 首相は、情報提供窓口に寄せられた医療現場などの声にきめ細かく対応しつつ、石油関連製品の供給制約に対処する具体策の検討を指示したとされています。 こうした動きは、ナフサ輸入の約7割を中東に依存している現状のもとで、医療用プラスチック製品の供給網をどう維持・強化していくかという、構造的な課題への対応でもあります。
政府は「直ちに需給上の問題なし」と説明も、在庫と調達多角化で備え
一方で、政府はナフサなど石油関連製品の供給について、現時点では大きな逼迫は生じていないとの認識も示しています。木原稔官房長官は3月30日の記者会見で、中東情勢を受けたナフサなどの供給について「現時点でただちに需給上の問題は生じていない」と述べました。 石油化学各社がナフサを原料とする製品の在庫を国内需要の約2カ月分保有しているほか、米国や南米などからの輸入と国内での精製により、さらに約2カ月分を確保できる見通しであると説明しています。 木原官房長官は、医療関係向けの石油製品についても企業と連携し、サプライチェーン確保に向けて必要な対応を実施していく考えを強調しました。
もっとも、ナフサは国内需要の6割を輸入に依存し、その7割を中東からの供給に頼っているとされており、地政学リスクが長期化した場合の影響は予断を許しません。 高市首相は、必要な石油製品について安定確保のための具体的対応方針の検討を指示しているものの、確保する量や時期の見通しは現時点で明らかにされていません。 透析回路や手術用容器のように特定企業への依存度が高く、東南アジアの工場で生産されている医療用プラスチック製品は、ナフサ供給のボトルネックが表面化すると代替調達が難しくなるリスクを抱えています。 今回のナフサ不足懸念を機に、原材料レベルからの調達多角化や在庫・備蓄のあり方、さらには国内生産体制の強化など、医療機器のサプライチェーン全体を見直す動きが加速するかが注目されます。








に第51回横浜矯正展が開催された横浜刑務所の入り口-280x210.jpg)



-300x169.jpg)