9月11日、東京債券市場は活発な動きを見せました。新発10年物国債の流通利回りが一時、前週末終値比0.050%高い0.700%まで上昇し、2014年1月から9年8ヶ月ぶりの高水準を記録しました。
市場の動向は、日本銀行の金融緩和策の転換が近いという見方に起因しています。米国の景気先行きの不安が後退する中、日本経済の回復への期待が増しています。
日本銀行は7月、長期金利の上限を事実上1.0%へと引き上げました。11日は長期金利が上昇しましたが、日本銀行が金利を抑えるための計画外の国債買い入れを通知しませんでした。この事態は、債券の売却が一段と進む要因となりました。
SMBC日興証券の奥村任氏によると、「金利上昇を試していく段階が続く」との見方を示しています。さらに、日本銀行の植田和男総裁がインタビューで、「いろいろなオプション(選択肢)がある」と述べました。加えて、「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」とも指摘しています。
11日の東京外国為替市場の動きとしては、円が1ドル=146円台後半で取引され、前週末に比べて円が約70銭高くなったことが明らかとなりました。ネット上では、「植田総裁は健全な金利上昇を望んでいると思います」「日本国債の金利上昇も容認せざるを得ないかと思います」「円安の是正を狙っているのでしょうが、これがどの程度効果を発揮するかは疑問があるところです」などの意見が寄せられています。
YCC柔軟化について|「円安に配慮して前倒しに決断したと思われる」
11日の金融・証券市場では、長期金利の急上昇が確認されました。これは、日本銀行の植田和男総裁が金融政策引き締めを示唆したとの観測から急上昇が見られました。
為替市場では円安の動きが続き、消費者物価は3%台の増加を示しています。この背景には、日本銀行が7月に行った長短金利操作、通称YCCの運用の柔軟化が影響しているとの見解があります。
大和証券の岩下真理氏は、YCCの柔軟化について「円安に配慮して前倒しに決断したと思われる」と11日付のリポートで語りました。一方、岡三証券の長谷川直也氏は、YCCの撤廃やマイナス金利解除について、年内決定の可能性は無視できないと指摘しています。
また、その実施は2024年1月と予想しており、報道内容はYCC撤廃だけでなく、マイナス金利解除が遠くないことを感じさせる内容だったと受け止めています。