
成田空港の機能強化の中核となる新滑走路の整備計画で、当初2029年3月末としていた供用開始時期が遅れる見通しになったことが分かりました。 成田国際空港会社(NAA)が進めるB滑走路延伸と3本目となるC滑走路新設の工事について、計画地の用地取得が難航し、2月20日時点で必要な用地の約1割がなお確保できていないためです。 NAAは近く、金子恭之国土交通相に新滑走路の開業延期を報告する方針で、国が求めてきた工程見直しを迫られる局面となっています。
成田空港では現在、長さ2500メートルのB滑走路を1000メートル延伸し、3500メートルのC滑走路を新設する事業を進めています。 完成すれば年間発着容量は現在の約34万回から50万回へ拡大する計画で、羽田空港とあわせて首都圏全体で年間100万回規模の発着枠を確保し、アジアのハブ空港との競争力を高める狙いがあります。 しかし、工事に必要な用地の確保率は2026年2月20日時点で88.4%にとどまり、C滑走路本体に直接かかる土地でも未取得の区画が残っています。 NAAはこうした状況を「極めて厳しい」と説明しており、3年後に迫る当初の開業目標に間に合わせるのは困難になったと判断したもようです。
C滑走路については用地の一部が確保できていないことから、大幅な供用開始の延期が避けられない見通しです。 比較的用地取得が順調とされるB滑走路も、誘導路や周辺道路などのインフラ整備に時間を要する可能性があり、関係者の間ではこちらも遅れが生じるとの見方が出ています。 国土交通省はNAAに対し、2025年度内に用地取得のめどをつけるよう指示してきましたが、期限までに全てを確保することは難しく、スケジュール全体の再検証が焦点となります。
用地取得の壁と「土地収用」論議、地域経済への懸念
用地取得の行き詰まりを受け、移転対象となる地権者らでつくる住民団体からは「任意での用地取得は限界に達した」として、土地収用法に基づく事業認定申請に踏み切るようNAAに求める声が上がっています。 土地収用法に基づく手続きが認められれば、公共性が認定された事業について国などが強制的に用地を取得することが可能となりますが、過去にも空港建設を巡り住民との対立を生んだ経緯があり、今回は地元側からの「収用」容認の提言という異例の展開となっています。
政府は、成田と羽田の両空港の発着容量を現在の約83万回から100万回規模へと増やし、訪日外国人客の増加や貨物取扱量の拡大に対応する方針を掲げています。 成田空港周辺では、千葉県などが約30万平方メートル規模の物流基地構想を打ち出すなど、「エアポートシティ構想」のもとで物流や航空機整備関連の産業集積が進みつつあります。 新滑走路の開業延期が長期化すれば、こうした投資計画や企業の立地判断にも影響し、地域経済の成長シナリオにブレーキがかかるリスクがあります。
一方で、地元には長年にわたり空港と共存共栄を模索してきた歴史があり、機能強化の必要性を認めつつも生活環境への配慮や丁寧な説明を求める声も根強いです。 今後は、NAAが事業認定申請を本格的に検討するかどうかに加え、国がどのような形で調整役を担うのかが焦点となります。 新滑走路計画の遅れは、単なる工事スケジュールの問題にとどまらず、空港と地域社会との関係づくり、そして日本の国際競争力強化戦略の優先順位を問い直す論点となりつつあります。










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