
7月4日、実業家のイーロン・マスク氏が政界に新たな波紋を投げかけました。同氏はX(旧:Twitter)を通じて「アメリカ党」という第三の政党設立構想を公表し、従来の二大政党制からの脱却を提唱する世論調査を開始しました。
この調査開始から6時間という短時間で60万人以上が参加し、そのうち6割が新党設立に賛成票を投じるという注目すべき結果となりました。7月5日午後2時の時点では、アンケート回答が100万票を超え、およそ6.5割の人が賛成票を投じています。
また、イーロン・マスク氏の投稿には4万3,000件のいいね、4万5,000件以上のリプライが寄せられています。
イーロン・マスク氏は投稿で「独立記念日は、二大政党制(一大政党制と言う人もいる)からの独立を望むかどうかを問うのに最適な日」と述べ、現在の政治体制への疑問を表明しました。
戦略面では極めて興味深いアプローチを提示しています。上院では100議席中わずか2~3議席、下院では435議席中8~10議席という少数に絞った集中戦略により、僅差で与野党が分かれている現在の議会構成下で決定的な影響力を行使するという計画です。
イーロン・マスク氏は「争点となる法律の採決で決定的な一票を握り、真の民意を反映した政策を実現できる」と戦略の有効性を強調しています。
マスク氏とトランプ氏が対立 EV支援策廃止で関係悪化
今回の動きの背景には、7月3日に議会を通過した減税・歳出法案への強い反発があります。同法案では電気自動車支援策の早期終了が決定され、テスラを経営するイーロン・マスク氏にとって直接的な経済的打撃となりました。
また、政府効率化省を率いてきた同氏とドナルド・トランプ大統領との関係悪化も影響していると見られ、ドナルド・トランプ氏がイーロン・マスク氏の企業への補助金精査を示唆するなど対立が深刻化している様子です。
現在の共和党は上院53議席、下院220議席というバランスで多数派を維持しており、党内少数派の動向が法案成否を左右する状況が続いています。新党構想が実現すれば、米国政治に大きな変革をもたらす可能性があります。
ネット上では、「これまでの行動に疑問はあるが、マスクの言う『アメリカ党』なるものができれば、政権の暴走をある程度止めることは可能かもしれない」「日に日に独裁色を強めつつあるあの老人の支持率が低下する意味でもこの新党設立は実現してほしい」などの意見が寄せられています。