米下院、TikTok禁止法案を圧倒的な支持で可決 運営会社CEOは反対意見を表明

米下院エネルギー・商業委員会は3月7日、短編動画アプリ「TikTok」の米国国内での配信禁止を内容とする法案を全会一致で可決しました。賛成票は50に対し、反対票は0でした。この措置は、中国政府が情報収集の手段としてTikTokを利用する可能性に対する懸念から、わずか2日という異例のスピードで委員会を通過したものです。
この法案は、さらに下院と上院の承認を経て、バイデン大統領の署名を得ることで正式に成立します。ジョンソン下院議長はこの法案への支持を表明し、ホワイトハウスも積極的な姿勢を見せています。
そして米下院は13日、TikTokの親会社であるバイトダンスに対し、米国事業を約半年以内に売却するよう求め、従わなければアプリの利用を禁止する法案を圧倒的な支持で可決しました。賛成票は352に対し、反対票は65で、この法案は超党派の支持を受けています。
しかし、上院では可決の見通しが不透明であり、別の規制方法を求める声も上がっています。それにもかかわらず、バイデン大統領は法案が可決されれば署名する意向を明確にしており、ホワイトハウスの報道官は「上院の迅速な行動を望む」とのコメントを出しています。
TikTokのCEOが声明を発表 「30万人の米国人の雇用が危ぶまれる」
TikTok運営会社の最高経営責任者(CEO)である周受資氏は、この動向に対して「(法案成立は)米国でのTikTok禁止につながり、クリエイターや中小企業から数十億ドルが奪われることになる」とした上で、「30万人の米国人の雇用が危ぶまれる」という声明を発表しました。さらに、同社は法的権利を行使し、TikTok禁止を阻止する姿勢を強調しています。
米国内では約1億7,000万人がTikTokを利用しているとされ、この法案に反対する若年層からの圧力が報告されています。一方、中国外務省は13日にこの法案を批判し、「米国はTikTokが国家安全保障に脅威を与えているという証拠を発見していないのに、TikTokへの追及を止めていない」と語りました。
下院採決においては、特に民主党から多くの有力議員が反対票を投じました。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員は「独占禁止法とプライバシーに関する深刻な疑問があり、国家安全保障上の懸念があれば、採決の前に国民に説明されるべきだ」と指摘しています。また、上院商業委員会のキャントウェル委員長は裁判で通用する法案を望んでおり、今後の展開はわからないとコメントしています。