6月の東京都区部の消費者物価指数(コアCPI)が前年同月比2.1%上昇し、日本銀行の目標とする2%台を3ヶ月ぶりに回復しました。しかし、追加利上げに向けては、なお慎重な見方が広がっています。
総務省の発表によると、エネルギー価格が7.5%上昇しています。電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助額減少が影響しました。一方、食料品価格は3.0%上昇と、11ヶ月連続でプラス幅が縮小しています。
市場では、日銀が7月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの思惑が浮上しています。植田和男総裁も、データ次第では7月の利上げは「十分あり得る」と発言しました。
しかし、明治安田総合研究所の小玉祐一氏は、日銀の動向は為替次第だと指摘。また、「今ぐらいの状況で推移するなら、7月に動く可能性は非常に高い」と予想しつつも、「賃金と物価の好循環が広まったかどうかはっきり見通せない状況が続いている」と考えを述べています。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は0.9%上昇しており、春闘での賃上げを価格に転嫁する動きが注目されます。ネット上では、「インフレも3年近くなってますから累積の物価上昇率は高くなってます」「上がらないのは給料だけだわ」「もっと高かった頃にも日銀は2%達成してないと言って全く利上げしようとしませんでしたからね」などの意見が寄せられています。
みずほリサーチ&テクノロジーズ「利上げを支持するデータは乏しい」
総務省の説明によると、政府の電気・ガス価格激変緩和対策事業の縮小により、エネルギー価格が押し上げられました。コアCPIに対する押し下げ寄与は、前月の0.47ポイントから0.24ポイントに縮小しています。
ただし、電気代は東京電力による昨年6月の家庭向け料金値上げの反動もあり、全体では前月比で押し下げ寄与となりました。また、家庭用耐久財や宿泊料の値上げが前月から押し上げに寄与しましたが、生鮮食品を除く食料には特に目立った値下げ品目はなかったとのことです。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介氏は、利上げを支持するデータは乏しいと分析しています。日銀としては「もう少しデータを見たいだろう」と自身の考えを語りました。
ブルームバーグのエコノミスト調査でも、33%が7月の利上げを予想する一方、44%は国債減額計画で利上げの可能性は低下したと見ています。物価動向と日銀の判断に注目が集まります。