兵庫県姫路市が、世界遺産・姫路城の入城料を「市民」と「市民以外」で差をつける二重価格制の導入を検討していることが明らかになりました。市民の料金は現行の1,000円(18歳以上)を維持する一方、市民以外の料金はその2〜3倍に引き上げる方針です。
新料金体系は2026年春の実施を目指しているとのことです。姫路城の維持管理費は市の一般会計から賄われており、今回の料金見直しは石垣の保存などに必要な財源を確保するのが目的だといいます。
市の担当者は、「料金全体を引き上げる中で、普段税負担をしている市民の分を値下げするイメージだ」と述べ、市民優遇の考え方を示しました。訪日外国人向けには、手荷物の預かりなどのオプションプランを用意し、別料金を徴収する案も検討中です。
姫路市は今秋から文化庁との間で「姫路城保存活用計画」の協議を開始。計画が認められれば、市議会に条例改正案を提出する予定です。
当初、清元秀泰市長は6月の国際会議で、「外国の人は30ドル払っていただいて、市民は5ドルぐらいにしたい」と発言し、インバウンドのみ高額料金を設定する意向を示していましたが、その後「決まった数字ではない」と釈明していました。
世界遺産の保全と市民負担のバランスをどう取るのか、姫路城の新料金をめぐる議論は今後も注目を集めそうです。
東京都渋谷区の海鮮居酒屋、すでに「二重価格」を導入済み
東京都渋谷区の海鮮居酒屋では、すでに国内在住客と訪日外国人観光客で料金に差をつける「二重価格」を導入しています。2024年4月のオープン当初から、飲み放題付きの食べ放題プランについて、外国人観光客は平日のランチが6,578円、ディナーが7,678円に設定されています。
一方、日本人と在日外国人を含む国内在住客は、この料金からさらに1人当たり1,100円の割引が適用されるのです。店側は、日本語や料理の焼き方がわからない訪日客への接客には、より多くのコストがかかることを二重価格導入の理由に挙げています。
現在の客層は外国人観光客が15〜20%を占め、残りは国内在住客です。日本語が話せない在日外国人でも、在留カードの提示で割引対象になるとのことです。訪れた日本人客からは、「日本人が割り引きされるのはありがたい」との声が聞かれました。
オーナーの米満尚悟氏は、「外国人観光客の金額を上げるのではなく、国内在住者を割り引く形にしたことで、理解を得やすくなっていると思います。これまでのところ日本人客は好意的で、実際に入店する外国人も二重価格とわかって来ているので、特に大きなトラブルはありません」と話しています。