堀江貴文と別府市が描く、温泉文化の未来『BOB(別府温泉ぶっかけフェス)』

『BOB(別府温泉ぶっかけフェス)』と別府市について対談する堀江貴文氏と別府市長の長野恭紘氏

2024年、別府市は市政100周年を迎え、さまざまな記念イベントを開催している。なかでも注目を集めたのが、『BOB(別府温泉ぶっかけフェス)』だ。別府スパビーチで1,000トン以上の温泉水を使用する斬新な音楽フェスとして期待されていたが、残念ながら台風の影響で中止となった。

このイベントの発案者である堀江貴文氏と、別府市長の長野恭紘氏が対談し、フェスへの熱い思いや別府市の未来について語った。

<目次>

二人の出会いから始まったプロジェクト

別府市の温泉施設『ひょうたん温泉』で再会した2人。

「LINEではよくやり取りしているんですけどね」と笑い合う両氏が初めて出会ったのは約10年前のことだ。当時、市長選挙に2度挑戦しながらも敗北を経験していた長野市長の「3度目頑張ります!」という熱意に、堀江氏は強い印象を受けたという。

その後、地方創生のアイデアを求める長野市長に対し、堀江氏が提案したのが、タイで行われている『ソンクラン祭り(街中で水をかけ合う祭り)』をモデルにしたイベントだった。そして3度目の挑戦で市長に当選した長野市長は、2017年に『別府温泉祭り』をスタートさせる。このお祭りは今では別府市の春を彩る恒例行事として親しまれ、7年にわたり続いている。

さらに2023年には、堀江氏の協力のもと『BEPPU ONSEN SHOWER FES』を開催。約4,000人が来場する大成功を収めた。2024年に計画していた『別府温泉ぶっかけフェス』は惜しくも台風の影響で中止となったものの、昨年を上回る規模になる見込みだった。

『ぶっかけフェス』が示す別府の新たな可能性

「温泉地は非日常なところ」と語る堀江氏。その言葉に続けて、「もともと別府温泉は傷を負った人たちが湯治に訪れる場所で、さまざまな事情を抱えた人々が流れ着く場所でもあった」と、長野市長がその歴史的な背景を説明した。

そんな別府温泉だからこそ可能な『ぶっかけフェス』。温泉のお湯を浴びながら音楽を楽しむという、まさに非日常を体感するこのイベントは、豊富な湯量を誇る別府温泉ならではの地方創生の形といえる。

堀江氏は「音楽のステージや体験型の仕組みなどを充実させるのはもちろん、特にVIPの参加がカギになる」と指摘。VIPの影響力により、さらに多くの人を引き寄せ、拡散力を高める仕組みが重要なのだと説明する。

一方、長野市長は「温泉を大量に放水することを心配する人もいるけれど、余裕です。だってここは別府ですよ!」と笑顔を見せながら頼もしく語った。なお、フェスで使用される温泉水は、通常は廃棄されるお湯を再利用したものだという。

市民と共に挑んだ『別府温泉ぶっかけフェス』

市政100周年を迎えた別府市は、「市民が主体となる100周年」というテーマを掲げ、市民からの事業提案を積極的に取り入れる新たな取り組みを展開している。

長野市長は「市政100年は特別な節目であり、市長として次の100年を見据えた活動を行いたい」と語り、その一環として開催予定だった『別府温泉ぶっかけフェス』への期待を寄せていた。

このイベントには、iPadレジやキャッシュレス決済を提供する「スマレジ」が協賛。濡れることを前提としたイベントだからこそ、キャッシュレス決済の利便性が際立ち、昨年のフェスでも大きな効果を発揮していた。来場者が安心してイベントを楽しむためのこの取り組みは、デジタル時代のイベント運営のひとつのモデルとなっている。

さらに、堀江貴文氏の発案により、フェス専用の法被やオリジナルのゴーグル、サングラスも用意されていた。会場の向かいに位置するドン・キホーテも、地域全体でフェスを盛り上げるために全面協力。防水ケースや日焼け止め、モバイルバッテリーといったフェスに役立つ商品を店内にそろえ、イベント準備に熱を上げていた。

市政100周年から次の100年へ

市民、公募企業、地域全体が一体となり、新しい形の地方創生を目指した『別府温泉ぶっかけフェス』。台風の影響で中止となったのは残念でならないが、市政100周年という特別な年を彩るこの取り組みは、別府の未来を切り開く一大イベントに成長していく可能性は大いにある。

堀江氏と長野市長が込めた熱い思いは、別府の豊かな温泉文化を次世代に伝えるだけでなく、地域全体を活性化させる力を持っている。『別府温泉ぶっかけフェス』は、市政100周年を超え、別府の次の100年を見据えた新たな挑戦を形にする場として期待されている。

はなまきケイライター

投稿者プロフィール

東京農業大学農学部卒
トリニティー・カレッジ・オブ・ミュージック卒
ヴァイオリン奏者 メンタル心理カウンセラー
3人の子どもを育て、発達障害、不登校、引きこもりなどを経験する。
みんなが生きやすい世界を目指し、「元気になる発信」をしている。

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