市町村からのヒグマ駆除の出動要請について、北海道猟友会は要請に応じないよう検討していましたが、一律に拒否するのではなく、現場の判断に委ねる方針を決定しました。
6年前、ある事件が道猟友会の方針転換のきっかけとなりました。砂川支部の男性ハンターが市の要請に応じて出動し、住宅方向に発砲したことで、猟銃所持許可を失ったのです。
男性は処分の取り消しを求めて裁判に訴えましたが、2審の札幌高裁は先月、「弾丸が周辺建物に到達する危険性があった」として男性の訴えを棄却しました。この判決を受け、道猟友会は25日の幹部会議で、ヒグマ駆除における現場の判断を尊重する方針を決定しました。
ただし、警察などとの連携が不十分な地域では、ハンターの安全が脅かされる可能性があるとして、関係機関との協議を徹底するよう求めています。会長の堀江篤氏は、「ハンターを守るには警察とも連携する必要がある。普段からそれぞれの地域で、どこが発砲可能なのかを協議してほしい」と述べています。
道猟友会は近く、この方針を道内各支部に周知する予定です。ヒグマ駆除の課題解決には、関係機関の連携と情報共有が鍵となりそうです。
ネット上では、「民間のボランティアに頼ってはダメですよ」「警察が駆除すれば良いのでは?」「猟友会は高みの見物してればいいと思います」などの意見が寄せられています。
北海道帯広市の市街地にヒグマ出没 発砲命令までに約4時間
2019年12月1日、北海道帯広市の市街地にヒグマが出没し、小学校に侵入する事件が発生しました。体長約1.5m、体重130kgのメスのヒグマは、小学校の木に登ったまま動かなくなりました。
現場には、帯広市の要請を受けた地元猟友会のハンター約20人、警察官、市の職員が集まり、対応を協議しましたが、鳥獣保護管理法により市街地での猟銃使用が禁止されているため、ハンターは自らの判断で発砲できませんでした。
警察官は職務執行法に基づき、ハンターに発砲を命じることを検討しましたが、安全な発砲のための条件を満たすことが難しく、現場の対応は困難を極めました。最終的に、帯広警察署長が現場の状況を確認し、周辺住民を避難させた上で発砲を命じ、ハンターが校舎の3階から木の上のヒグマを駆除しました。
発砲命令までに約4時間を要しました。対応にあたったハンターの沖慶一郎氏は、市街地での駆除の難しさを指摘し、行政と警察がクマについての知識を持ち、ハンターと同じ理解を持つことが重要だと述べています。