
近年の株式市場の好調により、日本における富裕層の数が大幅に増加していることが明らかになりました。野村総合研究所が発表した最新の調査結果によると、2023年時点で純金融資産が1億円以上の世帯数は約165万世帯に上り、2005年の調査開始以来、最多を記録しています。
興味深いのは、株価上昇の恩恵を受けて「いつの間にか富裕層」となった人々の存在です。彼らは富裕層全体の1〜2割を占めると推定されており、主に40代後半から50代の会社員で、長年にわたって確定拠出年金やNISAなどを通じて地道に資産形成を行ってきた層だと考えられます。
「いつの間にか富裕層」は、従来の富裕層とは異なる特徴を持っているようです。金融知識が十分でなく、資産運用を他人任せにしている人が一定数存在するほか、生活スタイルや支出も控えめで目立たないのが特徴だといいます。
日本の富裕層の裾野が広がる一方で、資産形成のあり方や金融リテラシーの重要性が改めて浮き彫りになったといえるでしょう。今後は、幅広い層に向けた適切な金融教育の提供が、より一層求められることになりそうです。
ネット上では、「ここ数年で金融資産が1億を超えた世帯は皆が思うほど富裕層だという自覚はない」「そもそも資産で人間を分類することに意味があるのか?」「間違っても他人が儲けさせてくれるとは考えず、自分の口座で自分で運用することが大切」など、さまざまな意見が寄せられています。
「いつの間にか富裕層」とは?高級車や高額な耐久消費財は購入せず
近年、日本では「いつの間にか富裕層」と呼ばれる新たな富裕層が増加しています。彼らの多くは、40代後半から50代の一般的な会社員で、年収は500万円から700万円程度です。
長年にわたってコツコツと資産運用を続けてきた結果、気付けば純金融資産が1億円を超えていたのです。
「いつの間にか富裕層」は資産が増えても、高級車や高額な耐久消費財を購入することはありません。金融機関との関係性も大きく変化せず、これまでと同じように定期預金や保険といった堅実な金融商品を利用し続けているといいます。
野村総合研究所の野口幸司氏は、「いつの間にか富裕層」の増加は一見すると格差の拡大を示しているように見えるものの、実際には日本全体の家計資産が底上げされていると指摘しています。
地道な資産形成によって富裕層の裾野が広がることは、日本経済にとって望ましい変化といえるのかもしれません。