
高級ファッションブランド「エルメス」を展開するエルメス・インターナショナルが、2024年12月期の決算を発表しました。2024年12月期決算が示すのは、同社の着実な成長と、世界的なラグジュアリー市場の活況ぶりです。
売上高は前年比13.0%増の約2兆4,120億円、営業利益は前年比8.8%増の約9,778億円、当期純利益は前年比6.8%増の約7,318億円となりました。いずれも前年比で増加を記録する中、特に注目すべきは日本市場の躍進でしょう。
わずか3年で売上高が1.5倍に拡大し、フランス本国と肩を並べるまでに成長しました。新店舗のオープンや、富裕層の購買意欲の高まりが追い風となったようです。
また、パリオリンピックの開催によって観光客が増加したフランスや、旺盛な需要が続くアジア太平洋地域、米国、欧州など、各国・地域とも総じて好調な数字を残しています。
製品別では、エルメスの象徴ともいえるレザーグッズが約1兆円の売上高を達成。伝統的なアイテムへの根強い人気が、ブランドの強みとなっていることが伺えます。
今回の決算は、エルメスが築き上げてきたブランド価値と、時代のニーズを捉えた戦略の成果といえるでしょう。ラグジュアリー市場の勢いが続く中、同社がどのような革新を遂げていくのか今後の動向が注目されます。
アクセル・デュマCEOが2024年の安定した業績について分析
エルメス・インターナショナルのアクセル・デュマCEOは、2024年の安定した業績について、同社のビジネスモデルの強さと、忠誠心の高い顧客の存在が成功の鍵だと分析しています。
また、米国のウォルマートが販売したエルメスの『バーキン』に酷似したバッグについては、「当社は模倣品対策に真剣に取り組んでおり、模倣品に対しては弁護士らと共に全力で闘う」と回答した上で、品質の差は明らかだとしつつ、手の届かない高級ブランドへの憧れを抱く人々の心情には理解を示しています。
一方、欧州製品に対する関税引き上げの可能性については懸念を表明しました。関税が引き上げられた場合、やむを得ず価格転嫁せざるを得ないとの見方を示しています。
アクセル・デュマCEOはさらに、他社のようなブランド買収による事業拡大は逆効果になると述べ、自社の強みを活かした垂直統合の方針を改めて強調しました。
好調を維持したエルメスは、従業員全員に71万円の特別ボーナスを支給しています。CEOの言葉からは、独自のビジネスモデルへの自信と、顧客や従業員を大切にする姿勢が伝わってきます。