
ハンガリー政府が少子化対策の新たな一手として、子供を持つ母親への税制優遇措置を大幅に拡充します。これまで4人以上の子供を持つ母親に適用していた所得税の生涯免除を、2人以上の子供がいる家庭にも広げる方針です。
この制度は段階的に導入され、3人以上の子供がいる家庭には今年10月から、2人の子供がいる家庭には2025年1月から適用されます。オルバン首相は来年の総選挙を見据え、住宅ローン金利の上限設定や物価高騰対策も含めた包括的な支援パッケージを発表しました。
「欧州最大の減税計画」と銘打ったこの政策について、オルバン首相は財政面での懸念に対し、経済回復や雇用創出によって財政赤字と公的債務の両方を抑制できると説明しています。
この大胆な少子化対策に対し、13人の子供の父親として知られるイーロン・マスク氏がSNS上で「素晴らしい政策だ!」と評価したことも話題となっています。イーロン・マスク氏は現在、トランプ政権の政府効率化省の責任者を務めています。
ハンガリーの合計特殊出生率は1.51と、日本の1.2を上回る水準にありますが、さらなる出生率向上を目指した積極策として国際的な注目を集めています。
ネット上では、「子どもを産めば産むほど、母親は貧困化するのが現実なので、こういう政策は正解だと思う」「これはとても良い差別化だと思う」「絶対日本じゃ無理だな」などの意見が寄せられています。
日本の少子化が深刻 合計特殊出生率は過去最低を更新
日本の少子化が深刻さを増しています。2022年の出生数は77万人台と初めて80万人を割り込み、合計特殊出生率も1.26と過去最低を記録しました。
また、厚生労働省が公表した2023年の人口動態統計によると、日本の合計特殊出生率は1.20と前年を下回りました。2022年から0.06ポイント低下し、8年連続で減少を続けています。
地域別の状況を見ると、全ての都道府県で前年より出生率が低下。特に東京都は0.99と1を下回る深刻な状況となりました。対照的に最も高い沖縄県でも1.60にとどまり、全国的な少子化傾向が鮮明になっています。
そんな中、注目を集めているのがハンガリーの取り組みです。同国は子育て世代への無利子貸付、住宅購入補助、母親への所得税優遇など多角的な支援策を実施し、なんとGDP比5%もの予算を投入しています。
日本の子育て支援予算がGDP比1.7%(2020年時点)であることを考えると、その規模の違いは明らかです。ハンガリーのこうした政策により、同国の出生率は2011年の1.23から2020年には1.56まで回復しました。