
カリフォルニア州の陪審は先日、スターバックスに対し過去最大級となる5,000万ドル(約74億円)の損害賠償支払いを命じました。この裁判は、ドライブスルーで購入したホットコーヒーによる重度の火傷事故から始まりました。
2020年、ロサンゼルスの店舗で配達員の男性がホットコーヒーを受け取りました。店員から手渡された際に飲料がこぼれ落ち、男性の下半身に直撃。重度の火傷を負わせただけでなく、性器神経にまで損傷を与える深刻な事態となりました。
「適切な安全管理を怠った」として提訴されたスターバックスは、陪審によって過失責任があると認定されました。判決では肉体的苦痛に加え、「生きる喜びの喪失」や「継続的な精神的苦痛」なども考慮されています。
スターバックス側は、被害者への同情はあるものの、当社に過失があったとする判断には同意できないとし、「不当に高額な賠償金」として控訴する姿勢を示しています。また、同社は「最高度の安全基準を徹底している」と主張しています。
米国飲食業界における安全基準と法的責任の在り方に大きな影響を与えそうです。ネット上では、「コーヒーだけで重度の火傷ってのが理解出来ないのだけれど」「日本からしたらびっくりするような賠償額」「下半身不随とかでもないのに74億円というのは、さすがに理解不能」などの意見が寄せられています。
スタバ事件の先例となったマクドナルド・ホットコーヒー訴訟
米スターバックスが直面している74億円の損害賠償問題は、1992年に起きた「マクドナルド・ホットコーヒー訴訟」を思い起こさせます。当時79歳だったステラ・リーベック氏が膝にこぼれたコーヒーで重度の火傷を負い、マクドナルドを提訴した事件です。
この事件はメディアに大きく取り上げられましたが、多くの報道は事実を歪めていました。実際のステラ・リーベック氏は体の16%に火傷を負い、治療費1万ドル(約126万円)の補償を求めただけでした。
しかし、マクドナルドは800ドル(約10万円)しか支払わず、当時セ氏82~88度という高温でコーヒーを提供し続ける姿勢を崩しませんでした。裁判では過去10年間で700件もの同様の苦情があったことが明らかになり、最終的に286万ドル(約3億6,000万円)の賠償判決が下されました。
結局48万ドル(約6,000万円)で和解し、マクドナルドはコーヒーの提供温度を下げる決断をしました。