国内初の子宮移植 慶応大病院が臨床研究計画承認を発表 実施判断段階に進む

慶応義塾大学病院は2月27日、子宮を持たない女性に第三者からの子宮移植を行う臨床研究計画が学内審査委員会で承認されたことを公表しました。これにより、日本初となる子宮移植の実施判断段階に進むこととなります。

この研究は木須伊織専任講師らのチームが3年前に申請したもので、生まれつき子宮がない女性や疾患により子宮を摘出した女性3名を対象に、親族から提供された子宮を移植して妊娠・出産を目指すという画期的な試みです。

子宮移植をめぐっては、日本医学会が4年前に「提供者・被移植者へのリスクが不明確で倫理的課題が残る」としながらも、限定的な臨床研究に限り容認する報告書を発表しています。しかしこれまで国内での実施例はなく、今回が初の試みとなる可能性があります。

手術は慶応大学病院で実施される計画ですが、実際の実施に関しては今後の検討課題となっています。同病院は「委員会で承認され、検討を始められる段階に入ったという状況だ」としており、「現時点で手術を実施するかしないかは決まっておらず、今後、検討を進めたい」とコメントしました。

子宮移植は子宮性不妊に悩む女性に新たな選択肢を提供する可能性がある一方、ドナーとレシピエント双方への身体的リスク、免疫抑制剤の継続使用、子どもへの影響など、複雑な医学的・倫理的課題も含んでいます。世界的にも実施例は限られており、その進展は医療界から注目されています。

ネット上では、「研究は進むのはいいとしても、この手術が一般的に行えるようにすることには反対」「その他の臓器と違って、生死に関わるわけではなく、必要性は疑問」「今生きている人の苦しみを除くために医療は使われるべき」などの意見が寄せられています。

子宮移植の臨床研究、ロキタンスキー症候群の女性など20〜30代約3人が対象

慶応義塾大学病院が進める子宮移植の臨床研究が具体化しています。計画では、生まれつき子宮がないロキタンスキー症候群の女性など20〜30代約3人を対象に、親族から提供された子宮を移植する試みです。

この移植プロセスは複数のステップから成り立ちます。まず患者本人の卵子を採取して体外受精・凍結保存を行います。

次に母親や姉妹などから子宮の提供を受け移植手術を実施。その後、免疫抑制剤を用いながら子宮が正常に機能することを確認し、凍結受精卵を移植して妊娠を目指すという流れです。出産は帝王切開で行い、子どもを望まなくなった段階で移植子宮は摘出されます。

「子宮がないが子供を持ちたいと強く願う人にとって、選択肢が広がる希望の光だ」と語る木須伊織専任講師を中心に研究は進められています。この技術は既に海外で実績があり、スウェーデンでは2014年に世界初の子宮移植出産が成功しています。

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