
楽天モバイルが衛星通信分野に本格参入します。4月23日、同社は米AST SpaceMobileの衛星技術を活用した市販スマートフォンとの直接通信によるビデオ通話試験に国内で初めて成功したと発表しました。
この実験では、福島県のゲートウェイ局から「BlueBird Block 1」衛星を介して東京都内の端末へとデータが伝送されました。従来の地上基地局を経由せず、完全なエンドツーエンド通信を確立したことが大きな特徴です。
「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」と名付けられたこのサービスは、2026年第4四半期の商用化を目指しています。山岳地帯や離島、さらには災害発生時など、通常の通信インフラが利用できない状況下でも安定した通信環境を提供することを目的としています。
一方、競合他社の動きも活発化しており、KDDIは既に4月10日から米SpaceX社の「Starlink」を活用した「au Starlink Direct」のサービスを開始しています。現在はテキストメッセージや位置情報共有などの基本機能に限定されていますが、今年夏以降にはデータ通信にも対応する予定です。
衛星とスマートフォンの直接通信技術は、通信キャリアにとって新たな競争領域となりつつあります。
ネット上では、「山や海で音声通話出来たら心強い」「何気に山間部も繋がると助かる」「頑張ってほしい。応援してます」などの意見が寄せられています。
三木谷浩史氏「今後の展開にぜひご期待ください」 携帯業界のアポロ計画
楽天グループの三木谷浩史氏はX(旧:Twitter)で、「本日、楽天モバイルとAST SpaceMobileで、日本国内で初めて低軌道衛星と市販スマホでの直接通信試験によるビデオ通話に成功しました。2026年第4四半期のサービス提供開始を目指しており、山間部や離島等を含む日本全土のエリアカバー実現に向けて大きく前進しました。今後の展開にぜひご期待ください。」と、直接通信によるビデオ通話試験の成功を報告しました。
三木谷浩史氏が「携帯業界のアポロ計画」と位置づけるこのプロジェクトでは、大型アンテナを搭載した「BlueBird」衛星が特徴です。
初期段階では50機の衛星が配備され、完全な常時接続には95機が必要とされています。現状では1時間あたり約4分の未接続時間が発生する見込みです。日本国内には3ヶ所の地上局が設置される予定です。
技術面では700MHz帯(プラチナバンド)または1.7GHz帯の周波数利用を検討中で、プラチナバンド採用なら屋内でも接続可能になります。ユーザーは圏外エリアでも自動的に衛星通信へ切り替わり、特別な操作は不要であるとのことです。
楽天モバイルはAST SpaceMobileの株式を15%保有しており、システム開発の主導権を確保しています。既に世界40社以上の通信キャリアとパートナーシップを結び、災害時には非契約者への開放も検討しています。