
防衛省が最新鋭の電磁推進兵器「レールガン」の大型試作品による洋上実験を近く実施する方針を固めました。
この兵器は火薬を使わず電気エネルギーによって金属弾を高速発射するもので、中国や北朝鮮が開発を進める極超音速兵器(マッハ5以上)への対抗手段として期待されています。
海上自衛隊の試験艦「あすか」に全長約6メートル、重量約8トンの実戦想定サイズの試作品を搭載する本実験は、2023年夏に行われた小型試作品の実験に続くものです。実際の戦闘状況に近い環境での命中精度や性能を検証します。
レールガンの最大の特徴は、砲身内に配置された2本のレールに大電流を流し、発生する電磁力で弾丸を加速させる技術です。従来の火砲と比べて射速が速く射程が長いだけでなく、火薬を使用しないため弾薬保管のリスクが低減され、自衛隊員の安全確保にも寄与します。
防衛省は2024年5月、ドイツ・フランス両国と共同研究協定を締結し、国際連携による開発を強化。また、一時開発を中断した米国からも技術データを得て実用化を目指しています。
将来的には2027年度以降に就役予定の次世代イージス艦(1隻あたり1,300億円超)への搭載を視野に入れています。
ネット上では、「レールガンがゲームチェンジャーにならなくても現有手段に匹敵するならば選択肢は増える」「コストパフォーマンスが悪すぎて現状では先が無さそう」などの意見が寄せられています。
レールガンの技術的な課題|中国と北朝鮮の反応
レールガンには技術的な課題も存在します。レールと弾丸の摩耗により連続発射が困難になったり、発射速度が低下したりなどの問題解決が急務となっています。
防衛省は「ゲームチェンジャー」となる可能性を秘めたこの技術の実用化を加速させ、激化する極超音速兵器の開発競争に対応する方針です。
中国の軍事専門家は日本のレールガン開発に強い警戒感を示しており、自国の軍事的優位性が損なわれる可能性を懸念しています。特に日本の防衛能力が向上し、中国のミサイル戦略が無効化されることへの危機感が顕著です。
また、中国は独自にレールガンの開発を進めており、香港の英字紙は「中国は世界で先行する」と報じ、2023年11月には120発の連続発射に成功したとの情報もあります。
一方で北朝鮮も同様に神経質な反応を示しており、国営メディアを通じて「地域の安全保障バランスの崩壊」を懸念する報道を展開。自国の軍事戦略への直接的脅威と位置づけています。