
中国軍の東部戦区は12月29日、台湾を取り囲む海空域で大規模な軍事演習「正義使命―2025」を開始しました。演習は31日夜まで続き、陸海空軍に加え、核ミサイルを運用するロケット軍も参加するという異例の規模で行われました。今回の演習について中国側は「『台湾独立』分裂勢力と外部の介入勢力に対する強い警告」と主張しており、台湾への軍事圧力を一段と強める姿勢を鮮明にしています。
国営中央テレビなどの報道によると、演習初日の29日午前から、多数の艦艇が台湾本島の南西部、北部、東部の沖合に展開し、実弾射撃訓練を実施しました。これに合わせて、内陸部の複数の飛行場からは戦闘機や爆撃機からなる編隊が次々と離陸し、台湾周辺の空域へ侵入しました。台湾国防部(国防省)の発表によれば、29日だけで延べ89機の軍用機と、14隻の艦艇が確認されており、制海権・制空権の奪取や重要港湾の封鎖を想定した高強度の訓練が展開されたもようです。
特に注目されたのは、中国軍が公開した映像です。弾道ミサイルとみられる兵器の発射準備を進める様子や、爆撃機が台湾本島の重要軍事目標を標的にした模擬攻撃を行う場面が含まれていました。また、台湾軍が撮影した写真では、中国軍の戦闘機「殲16」を台湾軍のF16が監視する様子や、中国海軍のフリゲート艦「安陽」に対し、台湾海軍のフリゲート艦「田単」が至近距離で警戒にあたる緊迫した状況が捉えられています。
中国軍による台湾包囲演習は、今年4月に行われた「海峡雷霆―2025A」以来となります。前回と同様に台湾本島を完全に包囲する形で5つの演習エリアを設定していますが、今回はより台湾沿岸に接近した位置での活動が目立っており、実戦を強く意識した内容となっています。演習は31日に終了が発表されましたが、東部戦区は今後も「国家主権と領土保全を断固として守る」と強調しており、台湾海峡の緊張は依然として高い状態が続いています。
高市政権の対中姿勢が影響か、問われる日本の安全保障
今回の軍事演習の背景には、今年11月に就任した高市早苗首相の台湾有事に関する発言があるとみられています。高市首相は11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事が日本への武力攻撃に波及する恐れがある場合、集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態」に該当し得るとの認識を示しました。この発言に対し、中国外務省や国営メディアは「内政干渉だ」として激しく反発しており、今回の「正義使命―2025」は、高市政権に対する直接的な軍事デモンストレーションの側面が強いと分析されます。
高市首相は発言について「撤回するつもりはない」と明言しており、従来の政府見解を踏襲しつつも、中国による一方的な現状変更の試みに対しては毅然とした態度を貫く構えです。しかし、中国側が実際に大規模な軍事行動に出たことで、日中関係のさらなる悪化は避けられない情勢となっています。
演習期間中、日本政府は警戒監視体制を強化し、中国側の動向を注視しました。今回の演習では、日本の排他的経済水域(EEZ)内への弾道ミサイル落下などは確認されていませんが、台湾周辺での偶発的な衝突が日本に波及するリスクは現実味を帯びてきています。高市政権下での初となる大規模な台湾包囲演習は、日本の安全保障政策が新たな局面に入ったことを突きつけており、今後の外交・防衛両面での難しい舵取りが求められます。









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