
京都市が宿泊税の上限改定を決定したと関係者が伝えた新たな動きに、今後の展開への注目が集まっています。従来は1泊1,000円で運用されていた税額上限が、今後1泊1万円に引き上げられる運用となります。
京都市は2018年から市内全域のホテルや旅館に対し、定額制の宿泊税を一律徴収している運用を続けています。現行制度では、宿泊料金が2万円未満の場合は200円、2万円以上5万円未満の場合は500円、5万円以上の場合は1,000円が課せられていました。
2023年度には税収が過去最高の52億円に達し、観光振興およびオーバーツーリズム対策のため充実した財源確保が急務とされています。新制度は5区分で展開され、6,000円未満は200円、6,000~2万円未満は400円、2万~5万円未満は1,000円、5万~10万円未満は4,000円、10万円以上は1万円にするとしています。
条例改正案は2月の定例市議会に提出され、総務大臣同意後は2026年3月から引き上げられる予定です。1泊1万円は全国の10の自治体の中で最高上限であり、年間約130億円の税収が見込まれます。
京都市の松井市長は、「宿泊客や観光客にはさらなるご負担をお願いすることになるが、京都の街の持続可能性を高めていくことは観光客にも寄与するものと考えている」と説明しました。
ネット上では、「京都の宿泊税が高いなら近隣県への宿泊が増えそう」「ガソリンのように二重の税金を課す特にインフレ時に強行するのは反対」「日本人や日本在住者には免除してほしいな」などの意見が寄せられています。
宿泊税とは?宿泊税を導入する全国の自治体
宿泊税は、2002年に東京都で初めて導入された後、大阪府(2017年)、京都市(2018年)、金沢市(2019年)などで順次採用されました。観光振興や地域活性化のため、税収確保を目的として運用され、2023年度は9の自治体で実施されました。
2024年度には北海道ニセコ町と愛知県常滑市が徴収を開始し、さらに2025年度以降に導入する自治体が14もあることが明らかになりました。コロナ禍収束後、観光客の回復が背景にあり、宿泊税導入の動きが活発化しています。
宿泊税は条例に基づく法定外目的税であり、住民負担が過大でない限り総務相の同意が求められます。北海道、宮城県、広島県、札幌市、仙台市など14の自治体で議会が可決し、北海道赤井川村と静岡県熱海市は既に同意を得ているとのことです。
また、沖縄県、千葉県、熊本市など43の自治体が具体的な導入策を検討中で、情報収集をしている旨や庁内で検討中といった状況が複数報告されています。