
中国政府はレアアースの輸出規制強化措置を1年間停止することを正式に発表しました。10月30日に韓国で行われたアメリカのトランプ大統領と習近平国家主席の米中首脳会談での合意を受けた措置となります。中国商務省は11月7日、10月9日に打ち出したレアアースの輸出規制について、この日から2026年11月10日まで停止すると発表しました。
レアアース(希土類)は電子機器やハイテク産業に不可欠な資源で、中国が世界の供給の大部分を占めています。今回の停止措置により、レアアース関連技術のほか、リチウム電池、黒鉛、人工ダイヤモンド粉末などの輸出規制が1年間停止されることになります。この措置はアメリカ以外の国にも同様に適用されます。
ただし、重要な懸念事項が残されています。アメリカのホワイトハウスは、中国側がレアアースの輸出規制を「事実上撤回する」と説明しているのに対し、中国政府の発表では「1年間の停止」に留まっており、「撤廃」ではないことが明記されています。双方の認識に食い違いが生じており、今後の解釈をめぐって対立が再燃する可能性があります。
さらに注視すべき問題があります。中国政府は2025年4月にも、ジスプロシウムを含む7種類のレアアースに対する輸出規制を発表していますが、今回の措置には含まれておらず、これらの規制についての言及がありません。この不透明さが、今後も米中摩擦の火種となる可能性があります。中国としては、引き続きレアアースなどの輸出規制を貿易戦争における「カード」として温存したい考えとみられています。
一方、農産物分野では進展がありました。中国はアメリカの企業3社に対して、中国への大豆輸出資格を停止していましたが、11月7日、中国税関総署は輸出資格を11月10日から再開すると発表しました。アメリカ側は、中国が年間2500万トンの大豆を輸入することで合意したとしており、中国からの大豆輸入再開は米国産業界にとって大きな朗報となっています。
米中首脳会談による貿易交渉の新局面
今回の合意は、米中首脳会談で「主要な貿易問題」の解決に向けて合意した成果の一部です。トランプ大統領は同会談で、中国側がレアアースの輸出を継続し、米国産大豆の購入を再開し、合成麻薬フェンタニルの違法取引取り締まりを強化することを条件に、対中追加関税を引き下げることで合意したと明らかにしました。実際にトランプ大統領は、対中追加関税を引き下げることを発表しています。
ただし、米中間の貿易摩擦は完全には解消されていません。中国側がレアアース輸出規制を貿易交渉の「カード」として保有し続ける姿勢、そして未解決の過去の規制措置が存在することから、今後の交渉過程において新たな課題が生じる可能性があります。今回の措置がどこまで実質的な貿易摩擦の緩和につながるかは、今後の動向が注視されています。








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