
クマの出没が各地で相次ぐなか、駆除したクマ肉をジビエとして活用する取り組みが注目を集めています。 埼玉県奥秩父の山あいにある飲食店では、クマ肉料理を目当てに全国から客が訪れ、連日満席の状況が続いています。店内ではクマの剥製が出迎え、山や川の幸を使った郷土料理とともに、クマ肉を味わうことができるようになっています。
来店客からは「クマ被害のニュースをきっかけに関心を持ち、なかなか口にできない肉だからこそ一度味わってみたい」といった声が聞かれ、実際に食べた人からは「臭みがなく食べやすい」「しっかりしたうま味があり、命をいただくありがたみを感じる」といった声もありました。 神奈川や東京から数時間かけて訪れる客に加え、外国人観光客や高齢の常連客も多く、リピーターの存在が人気の高さを物語っています。
一方で、秩父市内ではクマの目撃情報がこの数年で増加しており、全国的にもクマによる人身被害や出没件数は過去最多水準で推移しています。 環境省のまとめでは、2023年度のクマ類による人身被害は統計開始以降最多で、2024年度・2025年度も同様のペースで推移しているとされ、人家周辺への出没が目立つ状況が続いています。 背景には、人口減少や里山の管理放棄、気候変動による木の実の不作などが重なり、クマが餌を求めて人里に出てくる構図があると専門家は指摘しています。
こうしたなかで、店を切り盛りする現役猟師は「猟を担う人が減り山の手入れも行き届かないことで、クマやイノシシが増え、人里に出てくるようになった」と現状を説明し、「一定数を捕獲し、食肉として消費することで個体数を適正な水準に近づけたい」と話しています。 夏場より脂が乗る時期のクマ肉は赤身が濃く、適切に血抜きや処理を行えば臭みが少なくおいしく食べられるといい、骨でだしを取り、牙や爪を装飾品として活用するなど、ほとんど捨てる部分がないよう工夫を凝らしていました。
駆除クマ肉の利活用と課題
クマの被害拡大を受け、日本各地で駆除されたクマ肉をジビエとして活用する動きが広がっていますが、実際に食用利用されるのは捕獲数全体の一部にとどまっています。 多くの自治体では、衛生面の課題や処理施設の不足などから、駆除後のクマを焼却や埋設で廃棄せざるを得ないケースが少なくなく、「奪った命を無駄にしてしまう」という現場の猟師らの葛藤も指摘されています。
ジビエとして流通させるには、自治体の許可を受けた食肉処理施設での解体や十分な加熱など、厳格な衛生基準を満たす必要があり、設備投資や人材確保がネックです。 農林水産省は、鳥獣被害対策と地域振興を両立させる観点から、国産ジビエの安全な流通や利用拡大を後押ししており、骨や皮、内臓なども含めた資源循環の取り組みも進みつつあります。
一方で、クマ肉料理がSNSで話題となり「食べて駆除すれば被害が減るのではないか」といった期待も広がりますが、専門家は「ジビエ需要だけで個体数管理や被害抑制の課題を一挙に解決することは難しい」と冷静な評価を示しています。 クマとの距離を保つための電気柵や餌場管理、里山保全、ハンターの育成といった多面的な対策と組み合わせることで、初めて地域社会との共生に近づくとされ、ジビエ利用はその一要素になっています。







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