高市首相、コンテンツ産業を「国家戦略」と位置づけ海外展開を強化 20兆円市場へ向けた官民連携と課題

高市早苗首相は12月4日、自身の公式X(旧ツイッター)を更新し、日本のマンガ、アニメ、ゲーム、音楽といったコンテンツ産業を、国の将来を左右する「戦略産業」と位置づけ、政府としてその海外展開を強力に支援していく方針を表明しました。これまで「クールジャパン」として親しまれてきた日本のソフトパワーを、半導体産業に匹敵する経済的柱へと成長させるため、より具体的かつ大規模な財政出動と外交的支援を行う姿勢を鮮明にした形です。
投稿の中で高市首相は、「アジア、欧州、北米など多様な市場で、日本の音楽が響く未来を創ります」と記述し、クリエーターやアーティストが国境を越えて活躍できる環境整備への意欲を示しました。この方針を裏付ける具体的な施策として、先般閣議決定された550億円を超える補正予算の活用を明言しています。単年度の支援にとどまらず、複数年にわたる継続的な支援を約束することで、民間企業が長期的な視点で海外市場に挑戦できる土壌を整える狙いがあります。政府はこれらの施策を通じ、コンテンツ産業の海外売り上げについて、現在の市場規模から大幅な拡大となる20兆円という野心的な目標を掲げました。
また、首相は今月1日に東京都内で開催されたサウジアラビアの「未来投資イニシアチブ(FII)」東京会議での発言についても触れました。この国際会議の場において、世界的な人気を誇るアニメ「進撃の巨人」の主人公エレン・イェーガーの台詞を引用し、「Invest everything in me!!(全部オレに投資しろ!)」と力強く呼びかけました。
日本のコンテンツが持つ発信力と経済的ポテンシャルを、各国の投資家に対してトップセールスでアピールしたこの場面は、政府の本気度を象徴するシーンとして注目を集めました。半導体産業に迫る規模を持つコンテンツ市場を、官民が連携して「文化の力」で世界とつながるための重要な外交・経済ツールとして活用していく構えです。
中国でのライブ中止相次ぐ、外交発言の余波と求められる安全確保
一方で、政府が推進する「文化による世界とのつながり」の裏側では、複雑な国際情勢が日本のアーティスト活動に暗い影を落とし始めています。特に、高市首相自身による台湾有事をめぐる国会答弁に対し、中国側が強く反発しており、その影響とみられる文化イベントへの介入が相次いで発生しています。
直近では、歌手の浜崎あゆみの上海ライブが開催前日の11月28日に突如中止に追い込まれたほか、世界的な人気アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」の主題歌歌手として知られる大槻マキの上海公演が11月28日、ライブの最中に地元当局の指示によって音響と照明が落とされ、強制的に舞台から連れ出されるという異例の事態も起きました。大槻の事務所は「やむを得ない諸事情により急遽中断せざるを得ない状況となってしまった」とコメントし、翌29日の出演も中止となりました。
これらは首相の政治的発言に対する事実上の対抗措置とみられており、民間交流であるはずのエンターテインメントが外交カードとして利用されている現状が浮き彫りとなっています。政府が掲げる「海外展開支援」には、単なる資金援助だけでなく、こうした地政学的リスクからアーティストを守り、活動の場を確保するための外交的な環境整備も強く求められています。












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