ヨーロッパ中央銀行は16日、ドイツのフランクフルトで金融政策を決める理事会を開き、2月に予告していた通り、0.5%の大幅利上げを決定しました。スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営破綻が懸念されていましたが、インフレ抑制を優先する姿勢を示しました。
主要の政策金利を0.5%引き上げたことで、金利は3.0%から3.5%になります。ヨーロッパ中央銀行のラガルド総裁は、「インフレ率を2%に戻す決意は揺るぎない」と語った上で、「すべての手段を使って対応する用意がある」とコメントしました。
先月の理事会では、インフレを抑えるために利上げをする必要があるとして、今回の0.5%の利上げを予告しています。ただ、米シリコンバレー銀行の経営破綻に続き、クレディ・スイスの経営難や金融市場に不安が募るなか、ヨーロッパ中央銀行の動向に注目が集まっていました。
結果は当初の予定通り、0.5%の大幅利上げをする流れとなり、インフレの抑制を優先する姿勢を示しました。ラガルド総裁は「物価の安定と金融の安定はどちらかしか実現できないトレードオフの関係にあるわけではなく、今回それを実証していると思う」と述べたほか、「現在の市場の緊張を注意深く監視している」ともコメントしています。
米シリコンバレー銀行の経営破綻による各銀行への影響
3月10日に米シリコンバレー銀行が経営破綻し、その影響で各銀行に金融ショックが走りました。12日にはシグネチャー銀行が経営破綻しており、ニューヨークを拠点とするフラッグスター銀行が買収することで合意。
また、米シリコンバレー銀行の経営破綻が飛び火となり、経営不安がうわさされていたスイスの金融大手クレディ・スイスの株価が急落しました。経営破綻を防ぐため、金融大手UBSは19日に、30億スイスフラン(約4,300億円)で買収することに同意しています。
そのほか、米地方銀行であるファースト・リパブリック・バンクの株価が大きく下落するなど、金融市場への不安が一気に高まっています。この問題について、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなど大手11行が合計300億ドルを資金支援しましたが、信用不安は未だ収まっていません。
米シリコンバレー銀行の経営破綻から始まり、金融ショックが世界的に広がっているなか、ネット上では「ヨーロッパ中央銀行はこんなに金利を上げて大丈夫なのか」「リーマンショックの再来か」「まだまだ波乱がありそうだ」などの意見が寄せられています。